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ブログでレポートを書いていた2015年のYukonレースですがweb化完了しました。これで気持ちよく2016年の準備に取り掛かれます。
http://www.adventure-runner.com/desert/yukon2015/index.html

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ユーコン報告会in安曇野を開催しました。フォーマルハウトの紫谷さん、高崎さんが中心となりイベントを企画してくれました。去年の秋の砂漠のお話会に続き会場は高崎さんの「カフェ風のいろ」http://cafe-kazenoiro.com/です。イベントには27名の方が来てくださりカフェはいっぱいになりました。今回は松本に移住していた三好礼子さんも参加してくれて、三好さんファンもたくさんいるのでとても盛り上がりました。

報告会は喜んでいただけたと思うけど失敗したなと思うこともあり。あまり細かく説明するよりももっと写真や映像をたくさん見てもらったほうがよかったとか。長くやろうと思えばいくらでも長くできるものだけに時間配分が難しかった。

ご来場いただいた皆様ありがとうございました。来年またがんばって報告します。



何も成し遂げていないので報告というほどかしこまったものでもないけど、とりあえずけじめとして報告飲み会をおこないました。みんなで集まる機会にもなるのでいいですね。新しいお友達を作る場にもなったらいいと思うし。来年は完走して偉そうに報告会できたら最高だな。あとは誰か一緒にエントリーして、あの恐怖を味わってほしい。数字で聞くだけの気温とは、いくら想像しても絶対違うから(笑)

それから今回はNHKのグレートレースという番組のシリーズで4つのレースが放送されたけど、そのうち3つのレースの出場者が揃い踏み。マダガスカルのわたるさん、ニュージーランドのまさみさん、ユーコンの私。チームのメンバーと揃ってTV番組化されたのが嬉しいし、刺激になるような関係であったらいいなと思う。私は隙があれば引退モードでへたれ気味だけど。大きな宿題を残しちゃったからもう少し引退できないな。

今回のレースはたくさんの人にお世話になり、応援いただきました。ありがとうございました。懲りずにもう少しやりたいのでまたお願いします。
ユーコン・アークティック・ウルトラはカナダのユーコン準州でおこなわれるレースです。 距離は42km、100マイル、300マイル、430マイルの4つがあり、 さらに移動手段としてFoot(走る)、XC-Ski(クロスカントリースキー)、MTB(マウンテンバイク)を使う3つの種目に分かれています。 ここでは私が出場する430マイル、Foot(走る)カテゴリについて記載します。

430マイル(実際のレース距離は436マイル)は2年に1度開催されるレースです。スタートはホワイトホース(北緯60度43分)、ゴールはドーソンシティ(北緯64度3分)です。 太陽が昇らない日または太陽が沈まない日がある北極圏は北緯66度33分以北のためわずかに北極圏には入りませんが日照時間は短く冬の気温は非常に低くなります。 レースのある2月の平均最低気温はホワイトホースでマイナス18度、ドーソンシティでマイナス28度です。 冷え込めばマイナス40~50度まで下がる場合もあるため十分な準備をしないと命を落とす危険があります。

ホワイトホースからドーソンシティの間には9つのチェックポイントがあり、チェックポイントでは食事とお湯をもらうことができます。 1つ1つのチェックポイントの間隔はほとんど40マイル以下のため無人地帯でキャンプしないように進むこともできそうです。 ただ最後のチェックポイントを過ぎると130マイル何もないため3日ほどは一人で生き残る必要があります。

Yukon Arctic Ultra 大会webページ
http://www.arcticultra.de/en/

★現地の記録
1/31(土)ユーコンへ
2/1(日)オーロラの夜
2/2(月)フィッシュレイクからコッパ―トレイルへトレッキング
2/3(火)焚火練習
2/4(水)ソリへの荷物積載確認
2/5(木)レース準備(GPS入力・ドロップバッグ作成)
2/6(金)レース前の静けさ
2/7(土)レース前日ブリーフィング

2/8(日)レース1日目
2/9(月)レース2日目
2/10(火)ブレイバーン(CP3)へ輸送
2/11(水)ホワイトホースへ

2/11(水)リタイア速報
2/12(木)休養日
2/13(金)~2/14(土)1人ユーコン1回目
2/15(日)休養日
2/16(月)~2/17(火)1人ユーコン2回目
2/18(水)休養日
2/19(木)レンタル装備返却。自走でダウンタウンから帰る。
2/20(金)ダウンタウン(リバーデール)へ引っ越し
2/21(土)グレイマウンテン1回目
2/22(日)グレイマウンテン2回目
2/23(月)ダウンタウン散歩
2/24(火)帰国(到着は25日夕方)

★ノウハウ
Yukonまとめ:次回対策
Yukonまとめ:寒さとは
Yukonまとめ:火器の選択と管理
Yukonまとめ:焚き火の使い方

→事前現地下見レポートの目次へ


■目が覚めたら7時30分だった。昨日何時に寝たかわからないが、やることもなくすぐに寝たので10時間近く寝ていたかもしれない。まだ真っ暗だし、ほんとうに8時に迎えに来るのかな?と思ったが念のためすぐに動けるように準備した。ロバートは8時に迎えに来た。同じ家に宿泊していた数人と一緒にロッジに戻る。

■1時間くらい朝食を食べて待っていてくれと言われたので、もしかしてリタイアした人は朝ごはんもエントリーフィーの範囲で食べれるのかなと思ったら、どうやら違うらしい。お金がないと食べれなかったらお金を持って来ていない選手は食べられないじゃんとおもった。少しだけお金を持っていたので普通に食事をする。

■1時間以上待って、選手はもういないし、スタッフも先のCPに進んでロッジに残っている関係者が数人になった。置いていかれないか不安になりロバートが来た時に「まだ行かないの」と聞くと「あと1時間待って」という。

■あまりに暇で電話が目に入ったので櫛田さんに電話できないかなと思う。ホワイトホースに戻ったら櫛田さんに電話をしてピックアップしてもらわなければならない。電話のカードを入れるところにVISAと書いてあったので「もしかしてクレジットカードで電話できるのか?」と思い試しにカードを入れて(念のためで持っていた)番号を押してみるが「このカードは使えません」というような反応になり残念だった。お金でかけるのはホワイトホースについてから。(限りがあるので)

■さらに1時間以上待ってようやくロバートが「kaba!」と呼びに来た。ホワイトホースに戻る人数人と車に乗り込みロバートの運転で出発。1時間ほどかけてホワイトホースのhigh country innに到着。ホテルのカウンターで電話を借りて櫛田さんに電話する。「すぐに行く」とのことで、10分も立たないうちに迎えに来てくれた(早っ!)。

■ドロップバッグはすべて戻って来ていた。たぶん一気に各地点に荷物を送るのではなく選手、スタッフの動きとともに少しずつ北上していくので自分のドロップバッグはブレイバーンの先には行っていなかったのだろう。

■TimHortonでお茶(コーヒー)しながら櫛田さんとソックスとシューズが凍った件について話をする。やっぱりベイパーバリアをしっかりするしかないのかなという結論になる。またはロバートに質問したときの反応だとバリアではなく外に出すという考えなので、その場合は手元に常に替えのソックスを確保する必要がある。

■TimHortonでお茶(コーヒー)中にストラットフォードモーテルのおばちゃんに遭遇。ゴミ箱に折れた三脚を捨ててきたのだが「あれはゴミでよかったのか?」と。よく覚えているなーと思った。

■れなっちには櫛田さんから状況を連絡してくれていた。れなっちは帰国の飛行機が故障してアラスカに降りて、別の飛行機に乗ってつい先ほど成田に到着したらしい。櫛田さんの携帯を借りて無事戻り報告だけする。

■櫛田さんに「もう一度やりたいと言ったらサポートしていただけますか?」と聞く。快諾してもらえたので、なんとか再びの機会は作りたい。かなりの時間とお金をかけて準備してきたので問題があって瞬殺リタイアとはいえ、完走レベルには着実に近づいているはず。

■スーパーで買い物をしてから櫛田さんにホームステイ先のようこさん宅へ送ってもらう。合鍵はレースの荷物として持ち歩いておりいつ戻っても大丈夫にしてあった。レース中の緊急時用の持ち物としては、合鍵、20ドル、電話をかけるためのコイン(小銭)、クレジットカードでたとえ夜中にホワイトホースに戻されても、すぐにピックアップに動ける人がいなくてもなんとかなるようにしていた。リタイアしやすい状況を作っているということでもある。

■れなっちに「櫛田さん次もサポートしてくれるって」とメッセージ送ったら「リベンジしてほしいと思ってた」とのこと。周りの理解は得られそうだからあとは自分の仕事しだいだな(稼ぎと時間と)。40歳過ぎて結婚もしててこんなことができるとは恵まれている。まったく想像できなかった人生になっていておもしろい。
  

■目が覚めると9時。今日自分がどのように動くのかよくわからないので他の参加者やスタッフの様子を伺いにテントを出る。リタイア者と思われるソリもまだたくさんあるが自力で出発していく選手もいた。こういうのを見ると自分は判断が早すぎたのではないかと思ってしまう。

■自分の立場が微妙で他の参加者たちと一緒に大会側のスノーモービルで輸送されるのか、平賀さんたちと一緒にいていいのかわからない。テントに戻るとジャズさんが朝食を作ってくれていた。

■Braeburnまで平賀さんたちと一緒に行くことになり荷物をまとめ撤収準備。CPからもどんどんリタイア者が輸送されていき人数が少なくなってきた。ジャズさんがスノーモービルに乗る時のためにジャケット上下とバニーブーツを貸してくれた。スノーモービルはけっこうスピードが出るので普通に過ごしているときの服装ではまずい。バニーブーツは誰かが言っていたな。軍隊の装備で外からも中からも絶対に濡れないとか。見た目ほどは重くないし動きにくくもなかった。

■お昼頃スノーモービルでdog grave lakeを出発。Braeburnについたら夕方だからホワイトホースへの戻りは明日になるかも。

■スノーモービルで移動しながらコースをよく見る。自分の脚ではないから微妙な傾斜を感じないだけかもしれないけどほとんど平ら。一直線の道が多い。

■ある程度進むと選手を抜かすようになってくる。どんなシューズを使っているのかと足元を注意して見るがそんなに特別なものを使っているようには見えない。基本的にはトレイルランニング、ハイキングシューズっぽい。革のシューズのほうがいいのかなと思ってそこにも注目したがスノーモービルからでは素材まではわからなかった。

■Braeburnに到着するとCPはロッジの中。国道沿いのレストハウスという感じで通常営業しているが選手は中で休むことができる。ストーブにあたりながら取材インタビューを受ける。昨日レースを辞めた時は「こんな危険なことはもうしない」と思ったが、時間が経つと(まだ1日経っていないけど)次はどんな風にしようかと考えている。砂漠レースのときはレースの後もスーパーで食品の重さとカロリーが気になるようになったけど、今回はシューズが気になるようになりそうだ。

■このあと自分はどうなるんだろうなと思っていたら今日はホワイトホースに戻る車が出た後なので明日戻ることになるとのこと。今日はブレイバーン宿泊。ロッジの裏に(というよりロッジに宿泊施設がある?)選手の休める部屋がいくつかあり、ここで寝て行く選手が少なく空いていればそこで寝れるとのこと。紙に部屋が4つほど書いてあり利用状況が書かれている(と理解した)。

■ドロップバッグだけはリタイアの連絡と共にホワイトホースに戻ったらしい。リタイアでも到着してすぐに使いたいものがあったら困るよなと思った。食料も入っているし。



■Braeburnでは選手はレストランで1品と飲み物1つをもらうことができる。エイドを兼ねていて参加費に含まれている。巨大なハンバーガーとコーラを注文。ハンバーガーは大きすぎてパンの部分は少し残してしまった。

■取材チームもレース続行中、当然お仕事続行中なのでいつまでもブレイバーンにはいられない。英語のできる人がいる間に主催者のロバートと話をしておきたかったので、ロバートに話しかける。ロバートは忙しそうで少し話が途切れるとすぐに他の場所に行こうとするのだが(笑)こちらも話したいことがあり、ロバートと自分と通訳できる人が同時に揃うタイミングはもうこないかもしれないのでがんばって繋ぎとめた。

■ロバートにまず自分がやりたかったように430マイルにエントリーさせてくれたことにお礼を言う。本当は経験のない人は430マイルにはエントリーさせてもらえないらしいところ無理やりお願いしたので。あとはレンタルのソリを次回に向けて練習したいので21日まで借りておきたいと。快くOKしてくれた。最後にソックスをどうするべきだったのかわからないこと。今回凍結させてしまったので。ベイパーバリアっぽくsealskinzをメリノウールの下に履いたのだが(そもそも透湿性能を甘く見ていてバリアになっていなかったのは置いておいて)ロバートが言うにはやはりメリノウールソックスの上にsealskinzがよいだろうとのこと。ロバートはベイパーバリア派ではなく湿気を外に出す派らしいことがわかった。外に出すと超低温では凍ってしまうのだが、どんどん交換していくということだろう。

■今夜の寝る場所は選手も使うロッジの部屋ではなくロバートが近くの民家?の部屋を借りてくれてそこで休めることになった。おそらくロッジの経営者とか元からの協力者の家ではないかと思う。汚れている人たちにベッドを使わせてくれるなんてなんて心が広いんだと思う。

■車で数分離れた宿泊場所へ移動。車に一緒に乗った香港のお姉さん(100マイル完走者か?)がいろいろ話しかけてくるが聞き取りが難しく、少ししか答えを返せないので「あまり英語できなくてごめん」というと「私も中国語できないからー」と返された。自分は中国人じゃないけどそう言ってもらえるのは少し気が楽になる。ロバートは明日の朝8時か9時に迎えに来るらしい。

■ロバートは私のことを「kaba」と呼ぶことにしたようだ。どちらかというと「hide」のほうがしっくりくるんだけどまあいいか。
  

■設営している間に体が冷えてシュラフに入っても温まりにくい足がぶるぶる震えている。しかし相当眠かったようで気がつくと2時間経過。一瞬で眠ったらしい。

■ツェルト、シュラフの中にいる分には寒くないので食事をしっかり済ませる。それからシュラフの中に入れていたシューズとソックスは解凍されていたので普通に履くことができた。しかしまたすぐに凍るだろう。

■思い切って外に飛び出し大急ぎで撤収作業。相当冷えているので、もたもたしているとアウターグローブを外した手が凍りついてしまう(実際に凍るわけではないが、急速に痛くなる、感覚なくなる、凍傷と進行していく)。片付けを終えたところで後方から一人の選手がやってきた。とっくに最後尾に取り残されたと思っていたが、まだ後ろがいたのか。どこで休んでいたんだろう。

■出発時(4時前)に温度計を見るとマイナス37度。すぐに先ほど来た選手を抜かし快調に歩く。ときどきちらっと温度計を確認しているとわずかな区間だがマイナス40度まで下がった。ここからは川を離れて尾根を進んでいるような感じになりアップダウンを繰り返す。トレイルの脇でビビーサックで仮眠している選手を何人か見かけた。しばらくするとまた眠くなってしまう。凍らせてしまったシューズとソックスもまた凍るのが目に見えているので、停滞して眠れるなら少し寝て、焚き火をしてソックスを乾かしていい状態を作ってから出発しようと思う。この停滞で目標にしていたカーマックスを4日というのは無理になり関門ぎりぎり(4日と12時間)を目指すことになるだろう。

■燃やせる木がたくさんある場所を見つけそこにツェルトを設営する。木を大量に集めて着火。練習の成果ありで一発で大きな火を作ることができた。焚き火を作っている間に眠気は感じなくなっていた。こんな大掛かりなことをしているのに、明け方に抜かした選手、途中で寝ていた選手はやってこない。みんな休むときはまとめてしっかり休むのかな。

■焚き火の周りにsealskinz、メリノウールソックス、グローブ(アウターの厚いほう)、シューズを並べて火であぶる。乾かしている間にさすがに何人かの選手が通過していった。夜が明けてすっかり明るくなった。肝心の乾かすほうは問題発生。火に近ずけすぎてsealskinzは右足つま先部分の防水シートが溶けて穴が空いてしまい、メリノウールソックスも焦げてところどころ硬くなっている。

■なんとなく乾いた気がするし(少なくともましにはなった)軽く食事をしてシューズを履こうとするとまた問題発生。カチカチに凍っていて履けない。履けなくてはどうしようもないので眠くなくなっていたがシューズを抱えてシュラフに入る。そのまま30分から1時間未満くらい眠る。何度か選手が通過していく気配がした。けっこうまだ後ろにいたということになるが、みんなどこにいたんだろう。

■シューズが履けたところでようやく出発。履けたけれどシューズがさらに悪い状態になっていて愕然。焚き火にあてたことで雪、氷が溶けてシューズに浸み込みそれが凍っているのか。芯が硬いというか、特にシューズ裏面?ソール?本来クッションだったり曲がりだったり感じるところがカチカチで板を履いているようだ。そしてもう10時。ほんとうにやばい。この夜はできればノンストップだったのに全部で8時間くらい停止している。

■もうカーマックスに間に合わなくなりつつある時間帯だし(距離はカーマックスまでの4分の1にも到達していないのに!)自分が最後尾であろうと思い、とにかくシューズを解凍している間に通過した選手たちの最後尾に追いつこうと走れるところは走る。登りも緩ければ前傾姿勢をきつくし体重でソリを引く感じで。気温はマイナス26度だったが日差しもあり走ると汗をかくので上着を脱ぎウェアはベースとミドルの2枚だけにして走る(キャプリーン4とナノエア)。しかし全然追いつかない。

■走るのをやめて歩きのみにする。ソックスとグローブが冷たい。アウターグローブを外して就寝時兼非常時用のダウングローブを着ける。これで当分は大丈夫だが、これに水分を吸わせてしまったらもう替えがない。さらに顔を覆っているフリースのネックウォーマーとタヌキのファーをつけてあるソフトシェルの首周りも凍って硬くなってきた。首周りは凍ってもすぐに困ったことになるわけではないが(口元なんかは冷たくても呼吸ですぐに溶けるし)精神的なプレッシャーを感じてくる。

■このまま2晩目を迎えても大丈夫だろうかと考える。停滞が長かったので日没までにdog grave lakeまで行けそうにない。dog grave lakeでドロップバッグがあるとか室内で休めるとかあれば予備装備をつぎ込んででも行ってしまえばよいが、dog grave lakeに到着したところで食事とお湯があるだけで状況は変わらない。CP3のブレイバーン手前でこの状況なら迷わず行くのだが。

■まだ日差しがあるにも関わらず、足は冷たくなってくる。仕方がないのでリタイアを考える。今の状態ならビバークすれば大会側が忙しくて救助にこれなくてもいくらでも待てる。焚き火を作りやすい場所があれば終了しようと思いながら歩く。するとようやく前に選手を見つけた。ゆっくり歩いていたがトレイル脇の平らになっているところで休憩していくようだ。

■先へ進み焚き火を作りやすそうなところを見つけた。ここでキャンプにしようと思いスポットのHELPボタンを押そうとする。しかし押せなかった。力いっぱい押してもなんの反応もなくHELPできたかわからないので、その状態でここに止まっていても時間が過ぎるだけになってしまう。仕方がないので先へ進む。

■しばらく進むとスノーモービルが3台いた。「調子はどうだ?」と聞いてきたので大会関係者だろう。これでリタイアできると思い「シューズとソックスが凍った。もうだめだ」と一生懸命だめアピールをする。しかしスノーモービル隊はこの先に用事があるらしく「自分で次のCPを目指せないか?あと15kmだ」という。今、救助できないなら仕方がないので「やってみる」と答える。スノーモービル隊は行ってしまった。

■残り15kmかと考える。現在の時間が14時30分。補給やそろそろ水(お湯)も作らなければならず、歩いていればまた眠くなってペースが落ちることもあるだろう。よって5時間はかかると思っておいたほうがいい。加えてこの5時間はレースを進めるための前進ではなく、リタイアするための前進になる。非常につらい行程になりそうな気がしたので、スノーモービル隊には自力で行ってみると答えたが、この場所は広くなっていて燃やせそうな木も多いのでここに留まることにする。HELPボタンが機能しなくてもさっきのスノーモービル隊が戻ってくるだろう。

■ツェルトを設営して雪をガソリンストーブで溶かしてお湯を作りつつスポットを持ってシュラフに入る。スポットのHELPボタンをよく見るとボタンだと思って押していたのはボタンのカバーだった。カバーを外してHELPを押す。これでリタイア決定。

■ちなみにSPOTのボタンを押すとどうなるかというと、HELPボタンが押されたらなるべく早めに助けに行きますくらいの対応で、状況によってはHELPしてから一人で当分の間待機しなければいけない。SOSボタンは生命の危機を知らせるボタンで迅速にヘリなどの救助が来るが費用は自分持ち。

■シュラフに入ってうとうとしていると時々後続の選手が通り過ぎて行く。まだ後ろに何人もいたことに驚く。少し眠ってしまい気がついたら18時30分。あたりはなんとか薄明るい程度。真っ暗になる前に焚き火を作れるように木を集めておく。救助が来るにしても、自力でCPを目指すことになっても、動く準備をしておくに越したことはない。

■焚き火を作ってグローブを乾かしておく。今回レース中にも2回焚き火して冬のユーコンでならすぐに焚き火を作れる自信がついてきた。着火剤は使っているけど。

■やることやってシュラフに入る。深夜過ぎまで救助がこなかったら朝到着するように動きだそうかなと思った。

■スノーモービルの音で目が覚める。時計を見ると24時。ツェルトのすぐそばで止まったので助けが来たと顔を出す。撮影チームの平賀さんだった。今日はリタイア続出で大会側の手が回っていないのでどうせ取材に行くなら撮影チームのスノーモービルで回収してきてくれということらしい。

■地元ガイド会社up northのジャズさん率いる2台のスノーモービルが来ていた。「いちおう動く準備はしていた」と話すと「CPまで歩いて行ってもいいですよ」と平賀さん。もうやる気なしなのでスノーモービルでお願いする。ジャズさんのスノーモービルにソリを付け後ろに乗って出発。けっこうスピードが出て怖かった。30~40分でdog grave lakeに到着。

■到着すると大会スタッフテントでストーブの前でシチューと紅茶をごちそうになった。シチューがとてもおいしかった。選手も到着するとこれ食べれるんだろうな。ただし外で。

■睡眠場所は大きいテントと小さいテントがあるらしかったが、小さいテントとは平賀さんたち撮影チームのテントだった。大きいテントは中はちらっとしか見なかったが、リタイアした人たちが雑魚寝するところ。平賀さんたちのは小さいといっても蒔ストーブもあり平賀さん、ジャズさん、私の3人なので快適。

■平賀さんが私を気遣ってベッド(長椅子っぽい感じのやつ)を使ってくださいと言う。平賀さんは床に寝ようとしているので、私が床でよいと言いつつ、それでもベッド使ってくださいとのことだったので、せめてということで自分の持ってきた超低温対応のマットを使ってもらった。過酷環境からのリタイア者ということで大切に扱ってくれるけれど、実際はまだ余裕がある状態でリタイアし、食事も動く準備をしようと詰め込んできたので極めて健康なので大変申し訳ない。

■テント内はとても暖かく快適だったので薄着でシュラフのチャックも開けっ放しのまま就寝。しかし何時間か経ったら蒔ストーブの火が消えて極寒になっていた。手探りでウェアを着込みシュラフを締めて寝る。

  

■レーススタートの朝。櫛田さんがモーテルに9時に迎えに来てくれるので、8時に起きて朝食を食べ、バスタブにお湯を入れて体を温めた。朝食はれなっちがスーパーでお米を買って鍋で炊いてくれた。

■8時50分ごろちほさんが来た。スタートの見送りをしてくれるという。

■出発直前はさすがに荷物のまとめに手間取り9時30分近くの出発になった。でもスタートは10時30分でスタート前にやることはないし、他の選手たちの輸送もHigh Country innから2便で1便は9時15分出発と言っていたから間に合うだろう。

■会場に到着するとスタートまで1時間を切っているのにまだ選手は誰もいなく、大会スタッフが2~3人でスタートゲートを設置していた。昨日のユーコンクエストのような観客もなく仲間内の草レース感満載。

■10時を過ぎても選手の姿はまばら本当に10時30分にスタートするのかな?櫛田さんの車で暖かくしてコーラを飲みながら待つ。モーテルからスタートのシップヤードパークは歩いても10分程度だと思うが、少しでも体力温存し、直前まで暖かいところにいろと櫛田さんが車を出してくれている。ほんとにありがたい。

■10時15分。いいかげんスタートに行こうと車から降りると、いつのまにか選手が集結していて出遅れた自分は最後尾のほう出発になりそう。もっとも人数も70人くらいしかいないし、スタートロスなんて気にする必要もない。

■スタートゲートのところで集合写真っぽいことをしているので、一応急いで行ってみるが選手たちの後ろから顔を出して見るものの間に合わなかったっぽい。れなっちにスタートゲートで写真を撮ってもらう。

■自分のソリのところに戻ってハーネスを装着。ショルダーベルトが捻れたりしてもぞもぞしているうちにレーススタート(笑)

■ソリをハーネスに接続しようとしたら留めるためのピンが脱落していてない。いままで散々練習で使っていて数日前に使ったときもちゃんとあったのにここで失くすか。櫛田さんが車を見てくると車に向かった。選手は皆出発して取り残されている。もう1~2名遅れていた気がするが自分のことで精一杯で選手だったかはっきりとはわからない。別にここで5分や10分遅れたところで何かに影響するわけではないので慌てない。(後日談。最終ランナーのカーマックス関門到着は10分前だったそうで、こういうのが命取りになることもありえる)

■櫛田さんがキーホルダーのリングを持って来てくれ、それでハーネスとソリを接続することができた。助かった!

■ぶっちぎりの最下位でレーススタート慌ててもしかたがないので、日本の国旗に皆が寄せ書きしてくれたものをストックにつけて振りながらスタート。見送り隊と別れてコース上に1人になってからペースを上げる。

■最初の区間rivendell farm(42km)までは時速4km程度の計画。これは補給など多少の停止時間込みなので実際はやや速く進む。出遅れて1人ぼっちなので集団に追いつくまでは予定ペースを上回るペースで進むことにする。

■すぐに追いつくと思っていたが全然追いつかない。何人か抜かしたがスタートまもなく荷物をいじっている人、ウェアを調整している人、トイレしている人、とりあえずスタートしましたという人のみ。普通に進んでいる人は見通しのいい場所に出ても遥か彼方。当分は凍ったユーコン川の上を進むので1km以上先までしっかり見えている。

■タキーニ橋までは北に向かって進むが正面から微風がありとても寒い。気温はマイナス30度ないかな?くらいだと思われるが、体感はかなり。タヌキのファーをつけたフードを深くかぶり皮膚は露出しない。(できない)

■3時間ほど経過したところでシュラフに入り横になっている選手がいた。レースの準備が忙しくて寝不足なのかなくらいにしか思わなかったが、後から聞いた話だと低体温で危険な状態、SPOTのSOSも押せないくらいの状態だったとか。まさかそんなに早くダウンするとは思わないもんなあ。

■タキーニ橋にれなっち、櫛田さん、ちほさんが応援に来てくれていた。櫛田さんが車で選手が見えるポイントを回ってくれている。次のCPのrivendell farmにも来てくれるという。楽しみにしています!と言って別れる。

■タキーニ橋から進行方向は西向きになりタキーニ川の上を進む。向かい風がなくなったのでいくらか楽になった。スタート後のテンションがいくらか落ち着いてきた。それなりのペース、おそらく時速5kmくらいで進んでいるがそんなに前に追いつくわけでもなく前と後ろに人が見える程度の集団の中。後ろには10人程度しかいないと思うので最後尾グループと言っていいだろう。予定を大きく逸脱しない範囲で飛ばしているのに全然追いつかず、少しでも足を止めるとすぐに後ろが追いついてくるというのは予想外。みんな速い。

■夕暮れでだんだん暗くなり、GPSの距離が32kmを過ぎCPまであと1時間くらいかなというところでお腹が空いてきた。歩きながらもウェストバッグからフリーズドライやカロリーメイトを取り出して食べてはいるが数時間に一度はがつっと食べたくなる。何人かに抜かされたが気にしても仕方がない。最後尾集団でさらに後方になる焦りは感じる。

■ヘッドライトをつけ、エネルギーをたっぷり詰め込み、トイレも済ませて「さあ次のCPまでペース上げて行くぞ」と思ったらすぐに到着してしまった。42kmのCPのはずなのにGPS計測は34km。自分の計画した予定時刻よりも2時間以上早い。たぶん距離間違っていると思うな。

■CPでは大会スタッフが選手の到着を待ち構えてCPの到着時刻、出発時刻を記録しているのかと思っていたら自己申告だった。どの人がスタッフなのかよくわからないが選手の名前が書かれた紙が張り出されているところにいる人に話しかけたら対応してくれた。

■CPでは軽食がもらえることになっていて、TV取材スタッフがスープ貰えますよと教えてくれたので、スタッフにスープほしいと話したら容器を持ってくるように言われたので鍋を持っていく。たっぷり入れてくれたが、CP到着直前にしっかり食べてしまったので、完食できるか心配な量。

■れなっちと櫛田さんに会う。ちょうど到着したところとのこと。ちほさんは明日テストとかで帰宅したらしい。焚き火にあたりながらスープを飲みつつ話をする。れなっちと櫛田さんがアシスタントみたいになっているけどルール的に大丈夫かな。

■出発前にお湯をもらう。まだたっぷり持っていたので、消費した分だけの補充でいいかなと思ったが、櫛田さんに新鮮な(温度の高い)お湯を持って行くように言われたのでそのようにする。相変わらずどの人がスタッフなのかよくわからないのでスープをもらったテントに入り込みお湯の鍋から補充する。すると選手はテント内に入ってはいけないと言われたので、櫛田さんとれなっちにお願いして外で待つ(本来はスタッフにお願いする)。

■出発の準備を整えると、櫛田さんが「もう一箇所会える場所があるから行くよ」と言ってくれる。もう一箇所来ると帰りは日付が変わってしまうと思うんだけどありがたい。

■rivendell farmを出て快調に歩く。CP2のdog grave lakeまで53km睡眠を取らずに行ければ最高なので急ぎたくなるが体が温まって汗が出てきたのでペースを落とす。しかしペースを落としたら眠くなってきた。どうもフードを被ったり、夜になって視界が狭くなると眠くなって困る。

■眠くてよろよろと進み眠気を飛ばすために早くもiPod投入。しかしそんなに効果はない。れなっちと櫛田さんに会えるポイントが川から上がったところらしいので、それを励みに頑張る。

■かなりの時間が立ってやっと川から出る。少し急な登り。これまでずっと川で真っ平らだったので登りがきつく感じる。そして眠い。川から上がったけれど、れなっちと櫛田さんの姿はなく「もしかしたらここまで来る道が車で走行不可だったりして会えないかも」と残念な気持ちになりながら、しばらく登って行くと広い場所がありれなっちと櫛田さんがいた。時間は24時ちょっと前。ペースが落ちたので遅くまで待たせてしまった。

■あまりにもふらふらで寒くなってきたので少し眠って行くことにする。1人ビバークしている選手がいた。ツェルトを立ててシュラフ、マットを放り込み中へ転がり込む。ツェルト内は自分の息が凍りついてダイアモンドダストが舞っている。マイナス30度は余裕で下回っていそうだ。

■シューズを脱ごうとするとなんと凍っている。メリノウールソックスも凍っていてシューズに張り付いている。紐を思い切り緩めて力いっぱい引き剥がした。レースに出発する2週間前に極地に詳しい人に自分の汗で装備が凍らないようにするベイパーバリアという考え方を聞いたのだが、忙しかったこともあって外側に履く予定だった防水ソックス(sealskinz)を内側に履いてベイパーバリアの代わりにとしていたのだが、これがよくなかった。sealskinzは蒸気を外に出す働きがあるためベイパーバリアにならなかった。外に出すことは知っていたし、下見のときのトレーニングでも外側に履いていても1日歩くと外側がしっとり濡れていて、それでもある程度は期待した働きになるだろうと考えていたが甘かった。

■シューズを就寝時にシュラフの中に入れて温める防水袋に入れようとして防水袋を忘れてきたことに気がつく。そういえば防水袋あまっていたっけ。あまりにも単純なミス。シューズ凍結と二重でショックだ。れなっちが「車の中に荷物全部あるけど」と言うが、ルール違反なので(そういうルールが明記されているわけではないけど)とりあえずシュラフを入れていた袋の中に入れる。ブレイバーンまで行けばドロップバッグに使っている防水袋が手に入るので大丈夫だろう。

■心配そうにツェルトのそばに立っているれなっちに寒いから車に戻るように言って別れる。ここからは完全に1人のレース。やはり寂しい。
焚き火は火をつけること自体よりも燃料になる木の枝の集め方のほうが大事。トレイル脇の低い木が多く生えている場所の木は火がつきにくい。背の高い木が多く生えている森の中に燃えやすい木が豊富にある。これは日当たりのよい場所の木は生き生きとして水分を多く含んでいるため。1日中日が当たらない高い木の根元にある木や枝はしっかり枯れていて火がつきやすい。植生をみてそういう場所でかつ木が豊富にある場所で焚き火をする。燃料となる木が少ない場所で焚き火を作ってしまうと燃料を集めるのに時間がかかるし、燃料を追加するときにいい状態になっている火の前から離れてしまうためもったいない。

最初に着火する時には細い枝の束を2つ折りにして折った断面のほうに火を点ける。折った断面のほうが表面がぎざぎざしているため火がつきやすい。私の場合はこの束を2つ用意し、マッチで着火剤に火をつけ燃えている着火剤に両手に1つずつ持った細い枝の束をかざして火をつけた。着火剤を使わない場合は片手にライター、片手に細い枝の束を持つ。枝を折った断面にライターで火をつける。櫛田さんの実演はライターでやってくれたが私が持っていったライターは火の大きさを最大にしても炎が小さく直接木の枝に火をつけることはできなかった。ライターで直接火をつけれるようにしたい場合は炎の大きさが十分か確認しておく必要がある。

基本的には焚き火で服を乾かすという作戦は安易に取るべきではない。濡れた(湿った)ものはそんなに簡単には乾かない。シュラフで休むときにシュラフの中にソックスやシューズ、グローブを入れるが、乾かすというよりは凍らせないため、温かくしておいて行動開始時に履いた時の不快感、冷えで体温を持っていかれるのを防ぐため程度。もし時間を十分に取っても乾かしたい場合は、長い木の枝を3本組み合わせて三角錐を作り(先端をロープで縛る)火の真上に乾かしたいものを置いて乾かす。今回レース中に乾かそうとしたときは火の周りに並べてしまったため温まった程度で乾かすまで至らなかった。しかも早く乾くように火に近ずけすぎて焦げたり、溶けたりした。

自然に雪がついたり、汗(蒸気)が染みて凍りついたものを中途半端に焚き火に当てるとさらに状況は悪くなる。表面だけ凍っているものを一度溶かすことにより水分が奥まで染みて再度凍ると芯からカチカチに硬くなってしまう。そうなっても無理やり履けば体温で柔らかくなってくるが、最初の氷の塊を履いているかのような感覚はダメージが大きい。
火をつける方法は複数用意しておくこと。今回用意したものは防水マッチ、ライター、マグネシウムマッチ(ファイアスターター)。

(1)防水マッチ
焚き火を作ることまで考えたら着火剤をセットで持っておくのがいいと思う。マッチは一ヶ所にまとめて入れておくのではなくあちこちのポケットに分散(1箱ずつ)して持つのがいい。落としてなくしてもいくらでも代わりがある状態にしておきたい。またマッチの擦りかたをイメージできない場合は調べておくこと。私はマッチ全然使っていなかったので正しいやり方がわからずマッチの芯が折れてしまい、櫛田さんに「まじかー」って顔されました(笑)

(2)ライター
ある程度炎を大きくできるもの。着火方法はフリント式(石の摩擦で火花を飛ばす)のもの。ボタンを押して火をつける電子式は超低温で動作しないという情報あり。ガスを気化させることができなくなる?電子式でもおそらくポケットに入れてある程度の温度を保っておけば問題ないはず。とはいえ原則として単純な仕組みのものを選択する。

(3)マグネシウムマッチ
マグネシウムの棒を強くこすることで火花を飛ばす道具。主にガソリンストーブに着火するときに使う。上手になると落ち葉やティッシュペーパーに着火しそこから焚き火まで持っていけるらしい。マイナス20度くらいまではガソリンストーブに着火できたが、マイナス30度近くではガソリンが気化しないため火花を飛ばしたくらいでは着火できなかった。その状況ではマッチで直接ガソリンに火をつける必要がある。よってレース本番には使用せず。

ストーブはマイナス30度くらいに冷えるのが当たり前のユーコンの環境ではガソリンのものしか選択の余地はない。ガスには寒冷地用のものもあるが保証されているのはマイナス20度まで。それ以下では液体ガスが気化しなくなるし、ガソリンのように直接火をつけることもできない。

ガソリンストーブにもいろいろあるが部品の点数の少ないものを選ぶ。部品が多い、動く部分が多い、多機能なものは要注意。動く部分、接合する部分には燃料漏れを防ぐためにパッキンが入っている。このパッキンがマイナス30度になると硬く凍りつき燃料漏れをおこす。私のガソリンストーブは下見のときにSOTO MUKAストーブからMSR XGK EXに買い替えた。こちらは操作するバルブが1つしかなく非常にシンプルなもの。火力調整はできないが(でも水を作りお湯を沸かすだけだから十分)バルブを開けてガソリンに火をつける以外の操作がないため使い方に迷ったりすることもなくよかった。

また燃料ボトル内に圧力をかけるためのポンプ内にあるポンプカップも凍って硬くなる。そうなると燃料ボトルに圧力をかけれなくなり使用不能になる。ポンプカップは寒冷地対策として革のものに変えることで改善したが(櫛田さんのMSRドラゴンフライで)パッキンもなんとかしないと燃料漏れが発生するため私のガソリンストーブは革に変えていない。その代わりジップロックに入れてウェアのポケットに入れて持ち歩き使うときだけ出すようにした。またポンプカップが超低温でも機能しやすいようにシリコンオイルをつけた。シリコンオイルはホームセンターで売っている(アウトドアショップには置いていない)。
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