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■2月13日(金)

13時スタートでロング練習(一人ユーコン)へ。レースのとき自分の汗でソックスとシューズを凍らせてしまったため、その対策として何ができるのかということでベイパーバリアライナーを試す。ベイパーバリアライナーは製品もあるが、今実験するためビニール袋で代用する。ビニールの上からメリノウールソックスを履き、さらにsealskinzを履く。

気温は毎日マイナス一桁むしろ0度近くまで上がってしまったが、1日履いてメリノウールソックスが湿っていなければ成功だろう。コースはマウントシマスキー場のあたりからコールレイク方面に登って行くトレイル。どうしてもホワイトホースから長距離トレイルを歩こうとすると登って行くことになるためレースのコースよりもハードになる。

途中で山から降りていくスノーモービルに出会った。しばらくしてスノーモービルが戻ってきて「あなたのか?」とグローブを差し出す。いつのまにかグローブを落としていた。カラビナでソリのハーネスにぶら下げていたのにどうやって落ちたんだろう。厳しい環境で装備を紛失するのは物によっては命に関わるし、今回お世話になっている櫛田さんにもことあるごとに言われているのに、十分気をつけているつもりでもこういうことがおこる(実は今回レース中含めけっこうぽろぽろ落し物、忘れ物をしている)。スノーモービルの人が「どこに向かっているかわかっているか?この先雪が深くなるぞ」と言った気がする(英語あまり聞き取れないんで)。「わかっている。今夜はキャンプする」と伝えて先へ進む。

だいぶ暗くなってきた頃、山頂というわけではないと思うが(広いピーク?)展望台のようなところについた。看板が設置されていてスノーモービルや人の足跡がたくさんある。下のほうに照明のついたアラスカハイウェイが見える。ヘッドライトをつけてしばらくスノーモービルの跡を進むとスノーモービルが引き返した形跡がありトレースがなくなってしまった。流石に冬に夜に初めての場所をトレースなしで進む気になれず引き返すことにする。

山から下りてマウントシマスキー場を通過しいつものトレイル(whitehorse copper trail)へ入る。
トレイルは昨日降った雪と、あと気温が上がったためか雪が柔くて歩きにくい。加えて眠くなってくる。櫛田さんの家の近くのトレイル入り口(オーロラ見に来たところ)まで行ってキャンプにしようと脚を進め続けるが右左に蛇行しているのがわかる。なんとか耐え切って午前2時30分到着。車に踏まれて雪が薄く硬くなっているところにツェルトを立てる。

ソックスを脱いでみるとツェルト内に異臭が立ち込める。ベイパーバリアで汗を封じ込めるとこんなひどい臭いになるのか。でもソックスは乾燥したままで効果は十分ありそうだった。もう一つの試しはマット。レースで使ったサーマレストXサーモはマイナス30度以下でも寒さを感じなかったが、ちょっと横になりたい程度の休憩のときにもいちいち膨らませないといけないのと、付属のスタッフサックを使って空気を送り込めるようになっているのだが、超低温時に空気が送り込めなくなってしまい(吹き込み口のプラスチックが硬くなるから?)レース中は口で空気を吹き込んでいた。口で吹き込むと息に含まれた水分が凍りつくという問題があり、レース中は3回目の使用時に凍結で空気が入れられなくなった。これは吹き込み口をお湯で温めてから使うことで解決はしたが。性能はよいが問題がないわけではないので今回は予備で持って来ているサーマレストZliteSolを使用。薄いのでレースで使うとしたら2枚重ねるなど対策が必要だろうけど、マイナス一桁くらいの気温なら単体で使えないと困る。まったく寒さを感じることなく就寝できた。

■2月14日(土)

目を覚ますと8時30分だった。すっかり明るくなっている。食事をして装備をまとめて9時30分に出発。7時間の停滞になった。ぐっすり眠れたのはよかったが、夜フラフラになるまで歩いて明るい時間まで寝ているよりも、もっと早くキャンプにして明るくなりはじめた時間に動き出したほうがいいと思った。レースのときも同様。自分はやっぱり眠いのを我慢して動くのは苦手だ。

1時間ほど歩いたところでお湯の残りが少ないのでお湯を満タンに作っていくことにする。空の状態から2.2リットルのお湯を満たすまでどのくらい時間がかかるか測ってみた。雪から沸騰までなかなか到達せず1時間10分くらいかかってしまった。これは時間がもったいなさすぎる。お湯の作成はビバーク時にツェルトの準備と同時進行でおこなうべきだった。あるいは水分を取るという意味でなら沸騰までいかなくてもよいのだが、自分の場合は食欲を維持するためにフリーズドライ食品を多くしているため美味しく食べるためには少しでも温度の高いお湯を用意しておきたい。

デジカメをストックに取り付けて自分撮りするための部品の先端のネジがなくなっているのに気がつく。どこで落としたんだろう。戻るときに探してみようと思う。copper trailの反対側(北側)端まで歩いて折り返す。行きの後半はずっと緩やかな登りに感じていたため、折り返したらスピードアップするぞと期待していたのだが、折り返してもずっと緩やかな登りに感じる。この錯覚はなんだろう。デジカメのネジを探しながらトレイルを戻っていく。真っ白な雪の上に黒いネジだからあればわかるだろうと思ったが見つからない。

夕方になると爆音を響かせたスノーモービルのグループがトレイルを行ったり来たりしている。走り屋みたいなものか。copper trailとようこさん宅への道の分岐点まで来たがデジカメのネジは見つからなかった。ということは、昨夜山からの下りで自分撮りを使っているのでマウントシマ前後数キロの範囲で落としたはずだと思った。しかしネジだしまあいいか。

19時30分に生存報告のためようこさん宅戻り。Day1終了。30時間、移動距離70km。レースで言ったら完走ペースを下回っている残念なペースだが、レースにはないがっつり登りがあるしトレイルも新雪が荒れてざくざくで歩きにくかったので、実際はもっといいペースが作れるだろう。レースのコースはコース整備が入った上に先にスタートしたユーコンクエストに犬ぞりたちが通っているためトレイルはしっかり硬くなっている。ベイパーバリアライナー代わりのスーパーのビニール袋は破れてしまったので、2日目は薄いネオプレンソックスを履いていくことにする。れなっちがドロップバッグに仕込んでいたバレンタインチョコ(仮)を食べて20時45分に再出発。

再びざくざくに荒れたcopper trailに入る。歩きにくくテンション下がる。するとカーテンのようなオーロラが目の高さの空をゆらゆらしている。明るい光がさーっと流れていくので写真に撮りたかったが残念ながらカメラのネジをなくしているので夜景モードできちんと撮影できない。いちおう手持ちで撮ったが手ぶれ込み。レース中など山行中に見る星空は天体観望などそれ目的で出かけたときよりもなぜかきれいに感じるので好きなのだが(その割りに夜は即眠くなるが)山の中で見るオーロラも格別なものだった。しばしオーロラを眺めていたら、もう十分がんばったから帰ろうと思う。暖かい部屋にいると次はこんな練習しようとか、来年もう一度チャレンジとか思うのだが、寒かったり、暗かったり、眠かったりするとすぐに「やっぱり大変だな」と弱気になってしまう。24時ごろ引き返し始める。トレイルを出てから8kmほどは道路の路肩の雪の上を歩くのだが、眠くなってときどき意識が薄っすらとしかなく、気がつくと「ここはどこだ?」というようなことがあった。帰り道の途中でも明るいオーロラを見た。気温はそんなに低くないと思うが日中汗をかいてそのままのためかグローブがすごく冷たく感じる。やはり少しでも水分がついたものは低温になったり風を受けたりするととたんに冷たくなってくる。

3時30分ようこさん宅帰宅(変な時間に帰ってすみません。心折れました)。Day2、6時間45分、20km。即席ベイパーバリアのネオプレンソックスを脱ぐと一箇所皮膚がむけていて足のあちこちに赤い点々ができていた。専用商品でない適当なものだからというのもあるとは思うが、黙々と長時間歩き続ける今回のような用途にはもしかしたら向いていないかも。ベイパーバリアの実績がある登山や探検ならたぶんもっと動きはゆったりしたものだろうと思う。力技だけどソックスは日数分用意して一部ベイパーバリア併用。動きの少ないグローブはベイパーバリアなんていう方法がいいかもしれない。
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なぜか砂漠にひかれサハラ・アタカマ・ゴビ・南極でおこなわれたレースに出場。これからも世界の絶景を見に行きたい。
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