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■分水嶺トレイルとは
分水嶺とは山地に降った雨が稜線を隔てて異なる方向に流れていく境界のこと。ここでは「分水嶺トレイル実行委員会」が主催する奥多摩から野辺山までの山岳縦走レースのことを指す。
 
■ルール
必要な装備は全て自分で背負うセルフサポート方式。途中の山小屋で食事・水の補給は可能。宿泊は緊急時以外不可。基本的には3~5人のチーム単位で行動する。経験が十分な人の場合チームではなく単独(ソロ)でエントリーも可能。参加資格は「セルフレスキューがおこなえる人」。主催者の審査を経てエントリーが確定する。
 
■競技時間
7/14(土)10:00スタート~7/16(月)2:30(完全完走)~7/16(月)17:00(完走)
第1関門:雁坂峠関門時間・14(土)24:00到着
第2関門:大弛小屋テント場関門時間・15(日)12:00出発
第3関門:富士見平小屋テント場関門時間・16(月)9:00出発
 
■コース
奥多摩(鴨沢)~雲取山~飛龍山~雁坂峠~破風山~甲武信ヶ岳~国師ヶ岳~金峰山~瑞牆山~信州峠~野辺山(しし岩)
距離(カシミール計測)84km、昭文社山と高原地図標準時間46時間30分。
 
青梅線奥多摩駅からバスで30分程度移動。鴨沢バス停に9時ごろ到着し装備チェック・競技説明を受け10時にレーススタート。今回の私のチームは走らず歩いて完走を目指す。競うよりも奥多摩から野辺山までトレイルをつなげ自分の脚でたどることを楽しみとしている。雲取山までは傾斜は緩いが長い登り坂。暑いため一気に発汗しすぎないようにゆっくり登る。雲取山~飛龍山~将監峠はほぼ平坦。山頂は(無名のものも含め)無数にあるが巻き道になっていて登山道もよく整備されている。将監峠のすぐ下にある将監小屋で購入できるメニューは潔く酒とビールのみ。
 
将監峠から雁峠までは稜線ではなく下の巻き道を通る。ここもきれいに整備された歩きやすい(走れる)登山道。水干を通って雁峠へ。ここで薄暗くなりヘッドライトを点ける。木が茂ってなく視界が開けている場所では午後7時過ぎまで明るかった。雁坂峠までは燕山、水晶山など小さなアップダウンを繰り返す。燕や水晶なんて北アルプスの山の名前みたいだなと思う。平日の寝不足もたたり周期的に眠気が襲ってくる。時々小雨が降ったが行動している分には暑く体が冷えることはない。雁坂峠は関門の設定もあり14日24時のところ23時に通過する。
 
破風山のあたりではかなり疲労が来ていたが破不山避難小屋で睡眠を取って行く予定にしていたため「まずはそこまで」と思いがんばることができた。午前1時に小屋に到着する。無人の避難小屋ではあるが建物はしっかりした作りで快適に休息を取ることができた。小屋に入ったときに先客はいなかったが、その後続々と後続チームが小屋に入ってきていっぱいになった。雨で湿度が高かったためか小屋の板張りの床が濡れていたため敷物が必要。(私はツェルトを敷いて睡眠を取った)
 
朝6時少し前に破不山避難小屋を出発。ここで休息を取ったチームの中では一番早く入ったのに出発は一番最後。しかしここでの睡眠含む5時間停滞は予定通り。私のチームは歩きっぱなしとは言えそれなりの体力レベルで楽はしていないのに少し止まるとすぐに後ろのチーム(最後尾集団と言って差し支えないと思う)がやってくる。
それなりの猛者ばかりが参加しているようだ。みんなパッキングや準備などの行動も素早い。
 
国師ヶ岳手前ではまたも眠気が繰り返し襲ってくる。しかし海外サイトで購入したサプリメント(通称ヤクw)を飲むと5分10分で明らかに回復する。このサプリメントにはナトリウムとカフェインが入っている。すぐに回復するのは気持ちの問題かもしれませんが(笑)国師ヶ岳直後の大弛小屋関門は「もしかしたら間に合わない?」と思い少し焦ったがまわりにいたチームと励まし合い関門閉鎖30分前に到着。レギュレーションには12時の出発関門になっているが12時までに到着していればよいとスタッフの方から聞いたため到着のチェックをしてもらってから小屋でカレーを食べる。
 
スタートしてからここまで天気は曇空であまり景色は良くなかったが大弛小屋あたりから晴れて金峰山・五丈岩では素晴らしい景色を見ることができた。なんとなくのイメージでこの辺の山は山梨・甲府から近く街の景色が見えると想像していたが、実際はかなり山深く街はまったく見えなかった。金峰山から富士見平小屋までの岩場の下りは地面が固い(岩)と標高差が大きいため脚のダメージが気になる。それでもできれば次の瑞牆山(最後の激登り)を明るいうちに通過できることが理想なのでがんばる(実際は前を行くチームメンバーについて行っただけ)。富士見平小屋でうどんを食べ水を補給。うどんを食べているときに山小屋の人から今日五丈岩から落ちてヘリで病院に運ばれた人が出たと聞いた。五丈岩を通ったときに上に登って騒いでいる人がいたけどまさか・・・。18時ごろ瑞牆山の登山道へ入る。なんとか明るいうちに通過できそうだ。
 
瑞牆山までは大きな岩がごろごろ転がっている急斜面をよじ登るような感じ。急斜面は大変ではあるが直登で距離が短くなり所要時間が短くなるので嫌いではない。登り切ったところで瑞牆山山頂へ10分と不動滝へ下る道の分岐があった。山頂はレースとしては回り道になるため寄らずに不動滝への下りへ。不動滝まではときどき案内板やテープはついているものの登山道は荒れていて単独で来たらかなり不安になりそうな場所。ここで2晩目の日没。登山道から林道へ変わる場所にキャンプ場のようなものがあり信州峠への道を確認しているとキャンプ場のスタッフが「どちらへ?」と話しかけてきた。前日に奥多摩を出発したことを話したが「なるほど」という感じで軽く聞いていたため、このキャンプ場の方も本職の猛者であろうと想像。
 
暗闇の林道を信州峠を目指して歩く。主催者情報で林道分岐から1時間という話も聞いていたが実際は1時間30分かかった。遙か南側には山梨・甲府の市街地があり林道歩きでも、夜景が見えれば気分も違うと思うのだがとにかく山深すぎて何も見えない。信州峠23:00着で2:30の完全完走関門には間に合わないと確信。疲労が大きくなっていること、集中力の問題、順位の目標は元からなくすでに完全完走もなくなったことを踏まえこの先どうするか検討する。信州峠~横尾山~野辺山(しし岩)までは藪漕ぎありのナビゲーション区間でロストの危険もあるため、信州峠でしっかり睡眠&休憩を取り、明るくなり始めてから山に入るという提案をしてみた。しかし、ナイトナビゲーションをやりたいということで1時間だけ休憩し暖かいものを食べてから再出発。今回多少荷物が増えてでもガスバーナーを持ってきたが大正解。暖かい飲み物・食べ物はほっと一息入れて精神的に回復する。
 
藪漕ぎ・ナビゲーション区間は入ってみたら踏み跡や目印のテープがしっかりあり特に難しくなかった。しかしこの辺から足の裏全面が痛くなり、左膝にも力が入らなくなって踏ん張りがきかなくなったりしてペースが落ちる。三ツ沢の大ダルからひどくペースダウンしてしまいすっかり夜が明ける。ゴール時間は7:20ごろ。
 
長距離レースでの足の不調(マメや水ぶくれ)はメッシュ靴下を使うようになってからはなかったが今回はひどい状態になってしまった。少し過信があったかもしれない。一方定番の固形物が食べられなくなる現象はほとんどおこらなかったのはとても良かった。1日目の最後と2日目の中盤で多少の吐き気を感じたくらい。
 
レース全体の印象は、今まで行ったことのなかった山域で(勝手ながら)あまりメジャーではないと思っていたのだが
登山道もしっかり整備されて歩きやすくとてもいいコースだった。それを奥多摩から野辺山までつなげてワンウェイのコースにしイベント(レース)をおこなういうのは参加者にとってとても魅力的なチャレンジだ。大きなイベント(レース)も楽しいけれど、主催者が参加者の一人一人に目を配れる規模だからできる、基本はセルフサポートのちょっと大変なイベント(レース)がもっと増えたらおもしろいなと思った。
 
 
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なぜか砂漠にひかれサハラ・アタカマ・ゴビ・南極でおこなわれたレースに出場。これからも世界の絶景を見に行きたい。
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