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※大きな睡眠から大きな睡眠を1日として扱う都合でこの日は短くなっています。

目が覚めると15時だった。2時間で目が覚めてしまったが特別眠いわけではないし体が出発の準備ができたと理解して出発の準備に入る。もう一度コーラを買って飲み、準備をしているとファビオという選手が話しかけてきた。彼は靴擦れが悪化しここでリタイアすると言う。ドロップバッグから次の区間の装備を入れ替えているとファビオがやってきてソリの裏にワックスを塗ってくれるという。平地で滑りやすくなり楽になるそうだ。それから場合によってはソリに乗ってストックで漕ぐという方法もあるらしい(どこまで本気かはわからないw)。準備を済ませて出発しようとしているとファビオが寿司海苔を持ってきた。寿司海苔とワックスも容器ごとくれた。ファビオのぶんまで先へ進もうと思った。(寿司海苔とワックスは同じものがホワイトホースで売られていたのでたぶんそこで買ったものだと思う)

16時35分にCP3を出発。取材の岡部さん杉本さんもしばらくは一緒についてくる。少し登った後長い下り坂があったのでファビオに教えてもらったようにソリに乗って勢いよく漕ぎ坂道を滑り降りた。わざわざソリを外して乗るよりも走っていったほうが速そうだけど。別のアクティビティとして確かにおもしろい。荷重移動で曲げることもできるしスピード感が楽しい。しばらくして岡部さん杉本さん離脱。夕暮れ迫るトレイルを進む。しばらくして川に出るとそこからは川と湖をつないでいくコースになる。基本的には平坦な凍った川・湖の上でときどき島のような陸地に上がり、また川・湖に出る。平らなところがほとんどのため走れる場所が多い。それでも数時間の進み具合を時速にすると4km程度にしかならないので、いかに停止時間を短くするかがスピードアップの肝だと思う。絶対的なスピードを上げた状態を10数時間も維持するのはまず無理なので。

 

フリーズドライで食事にでもしようと荷物を降ろしカレーにお湯を注ぐ(こういうのが停止時間となって積みあがる)。するとお湯がぬるくてフィリーズドライが完全に解けない。給水でお湯を飲んだときにもぬるいと思ったが、給水で手元に持っているボトルは保温力が少し弱いので冷めたのだと思っていたが他のボトルもぬるかった。40度はないなというくらい。お湯を沸かしなおそうかとも思ったがかなり時間がかかるし、平地が多くいいリズムで進めているため次のCP4 Ken Lakeまでカロリーメイトで我慢しようと思った。

巨大な湖(コフランレイク)に出てひたすら走る。向こう岸がまったく見えない(夜だからだけど)平らなところは走り切りたいのだが走っても走っても終わりが見えないのでついに歩き出す。何度か「ドーン!」という爆発のような音を聞いた。氷が割れているんだと思うんだけど自分がいる場所がそうなったら恐ろしい。氷にひびが入っているだけで水に落ちるとかはないと思うが。湖の上を走っているとひんやりとしてきて気温がぐっと下がってきた。お腹も空いてきたし少し休みたくなってきたが、だだっ広い湖の真ん中で休憩するのも落ち着かないので早く湖から出たい。2時間ほどかかってやっと湖から脱出。

湖から出て休憩する場所・・・というよりはビバークする場所を探し始める。川や湖の氷の上でビバークするのは禁止されているので(危ないかもしれないし寒いだろうから)次に同じような場所に出てしまうとまた何時間も休めない可能性がある。そのためかコフランレイクから上がった先には何人かの選手がビバークしていた。あまり他の選手の横でビバークとかはしたくないので良い場所を探しつつ先へ進む。ビバーク場所の選定が難しく平らでしっかりしたところはすぐ下が氷になっているし、そうでない場所は雪が深い。前回の430マイルと異なり300マイルはスコップが義務装備になっていなかったため置いてきてしまったがビバーク・設営を考えたらスコップがあったら楽だなと思った。雪が深いところでビバークすると前夜のように寝ている間に傾斜してきて休めないと思ったので仕方なく氷の上にうっすら雪が積もっている平らな場所で休んでいくことにした。

午前1時。ビバーク場所を決めてシェルターを立てる。今回のレース一番の寒さを感じ温度計を見るとマイナス27度。これぞユーコンという感じになってきたが天気予報ではせいぜいマイナス20度だったはずだけど、この辺は特別寒い場所なんだろうか。Goproで記録を撮ろうと思ったら寒すぎて電源を入れてもすぐに電源が落ちてしまう。新しい電池に入れ替えても同じだった。前夜までのようなビビーのサランラップ巻きで寝るのはもう嫌だと思ったのでビビーは使わないことにした。準備時間の短縮も考え服装はそのままシューズの上にオーバーシューズを履いてシュラフに入る。足が少々窮屈だが上半身・グローブ・ソックスはベイパーバリアしているのでビビーに入らなくてもシュラフに水分を吸わせることはないだろう(あってもわずかだろう)。

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目が覚めると明るくなっていた。ちょっと寝すぎたかもしれない。寝ている途中で他の選手が通過していく気配を感じていたので、おそらく途中でビバークした大多数の選手は先に行ってしまっただろう。ビビーから体を引きはがし上半身だけ外に出てタオルで体を拭く。シェルター内の気温はマイナス10度。このくらいだから裸で寝て汗を拭いてウェアを着れるけど気温がマイナス40度になったらシェルター内はおそらくマイナス30度となり、そのような気温で同じことができると思えない。ビバークを撤収し出発は9時40分。思った以上に時間を費やしている。6時間の滞在で睡眠時間は4時間程度。気温はマイナス19度だった。

前回リタイアしたときはここはCP2の15km手前、スノーモービルで運ばれた感じだと下りが多かったと記憶しているので3時間くらいで行けるかなと思っていた。しかし登りが多い。しっかり山を登っている感じ。さらに15km進んでも到着する気配がない。GPSで道を間違えていないか確認すると直線距離でまだ4km離れている。CP1が大会公式だと42kmになっているが実際は35kmだったので、CP2は大会公式で95kmなのでGPSの88kmくらいで到着すると考えていたが(この計算だと前回リタイア時に聞いたCP2の15km手前で計算が合う)CP2は本当に95kmになるらしい。大会公式のCP1とCP2の区間距離が間違えている(60kmある)ということになる。

14時15分にCP2のDog Grave Lakeに到着。ずいぶん時間がかかってしまった。もしかしたら今日中にブレイバーンまで行けるかなと期待していたが完全に無理。順調に行って明日の明け方かなと思う。遅れの原因はビバークで寝すぎ(これは制限時間にかからなければよく眠れたほうが後半に向けての準備としてはよい)、Dog Grave Lakeが予想よりも7km遠かった(思い込み)である。まあどちらもミスというわけではないので落ち着いて進めばいいのだけど。

事前の主催者情報でCP2では食事の提供ができるかわからない(できない?)から自分で食事は用意するようにとアナウンスされていたが食事の提供はあった。パンとシチュー(具だくさん)とチョコケーキ?。チョコケーキ?はCP1のがまだソリに乗せてある状態だがここでもソリにストック。甘そうなのを食べる気になれない。日の当たるベンチに腰掛け湖を見ながらシチューを食べる。前回リタイアして湖を眺めていたのとは大きな違いだ。幸せである。14時55分にブレイバーンに向けて出発。

気温は暖かくマイナス5度。体調はベイパーバリアの影響で親指がふやけているのと、左膝にときどき痛みが出るのが気になる点。そこでCP2を出て少し歩いてからだがベイパーバリアライナーを外してソックスに汗を吸わせて足を休ませるようにした。ソックスが湿っても十分に替えがあるしブレイバーンに到着すれば次の交換用ソックス一式を置いてある。ブレイバーンまでは55kmあるが時速4~5kmで進みビバークをせず、ブレイバーンの室内で休むようにしたいと考えている。ブレイバーンへのトレイルも去年スノーモービルで運ばれた道。そのときは一直線の平らな道という印象だったが、自分の足で入ってみると全然平らではない。スノーモービルに乗っているときの印象が全然当てにならない。



暗くなるとやっぱり眠気が出てくる。CP2から4時間30分で進んだ距離は15~16kmとペースもなかなか上がらない。めったに他の選手に会わなくなって本当にブレイバーンに向かっているのか不安になる。道の印象も前回スノーモビルのときと違うので余計に不安だ。GPSで確認すると少なくともとんでもない方向には向かっていないが現在地からブレイバーンの地図上での離れ具合を見てうんざりする。GPSをチェックしている間に女性2名男性1名のパーティに抜かされた。夜の独りぼっちは不安にもなるため急いでGPSをしまって目視できる範囲くらいにはいようと後を追う。しかし全然追いつかず振り切られてしまった。しばらく進むと3人パーティは補給タイム。その間にまた前へ出る。しかしこちらが少し足を止めるとすぐに抜かされる。

眠いという自覚はそれほどなく意識はしっかりしているが幻覚(単に見間違い)を見るようになった。倒木に雪がかかっているものがガードレールに、背の低い木が人に見えてくる。そのほかにはずんぐりした木が林業の重機に見えるなど。1本の木とその隙間から見えている向こう側の景色が組み合わさって1つのものに見える高度な幻覚まであった。あまりにはっきり幻覚が見えるので人工物が見えると「あれはこういう形をした木があるはず」とかクイズ感覚になってきた。あるとき前方にトンネルが見えて工事現場を照らす照明が立っていたので「なんでこんな山奥に工事現場が?」と思ったら「Are you Ok?」と話しかけられた。スタッフのスノーモービルが目の前にいた。スノーモービルの車体がトンネルに、ヘッドライトが工事現場の照明に見えていた。

22時でトータル120km、ブレイバーンまであと30kmちょっととなる。30kmというと近く感じるが時速4kmで7時間もかかる道のりだ。このあたりからトレイルの脇でビバークしている選手を抜かすようになる。やっぱりみんな寝るのは早め。23時30分ごろ何度か出会った3人組がビバーク準備をしているのを抜かす。気温はマイナス19度と前夜に続きなかなかの冷え込み。少し風があって寒い。この時点でCP3まで25km程度。前夜のパターンだと自分が行けるところまで行って力尽きて寝ている間に早めにビバークした選手たちがまた先に行く形になるが、なんとか途中のビバークを省きCP3の建物の中で寝るようにできれば、このサイクルを抜け出し1つ前の集団に出れるのではないかと考えていた。

午前2時。CP3まで18kmを残しビバーク体制に入る。気温と風のせいかハンガーノック気味か体が冷え切ってしまったため食事&睡眠でリセットしたいと考えた。またトレイル上でビバークしてはいけないのだが、このあたりはトレイル脇になかなか広くなっている場所が見つからなかったがスノーモービルがUターンした轍を見つけ、次にビバーク可能な場所がいつ見つかるかわからないので轍(圧雪)を利用してビバークすることに決めた。シューズを脱ぐときにシューズが固く凍っていることに気が付く。やっぱりベイパーバリア外すと自分の汗で凍るんだな。前夜と同様にウェアを脱いでシュラフの中に入れたビビーサックに入る。これも前夜と同じくサランラップで巻かれたように身動きできなくなる(笑)さらに悪いことに地面の圧雪が弱く体重でつぶれて傾いてきてシュラフがマットから落ちてしまった。それでもビビーでサランラップ巻きになっているので寝ている位置の修正もできない。しばらくもがいたあとこんなことではまったく休まらないので出発することにする。3時間ほど無駄にして余分に疲れるという結果になった。

朝が近づいて強烈に眠くなってくる。右にふらふら左にふらふらで道幅は5~6mはあるのに左右の木にぶつかりそうになるほど。こんなときは目覚ましにGoproに向かって自撮りで話をする。気温はマイナス14度になっていてユーコンとしては寒くはない。しかし現在の服装は去年マイナス40度で行動していたときと同じもの。それでも少し肌寒く感じるくらい。1日目の体力が充実しているときならマイナス40度でも意外と平気だったとか言っていられるけど、疲れているときにマイナス40度をくらったら死にそうです。

午前8時。明るくなれば眠気もなくなるはずと思って耐えていたが、明るくなってきても眠くて体が動かない。そこで最後の手段で自宅(れなっち)に電話する。日本は夜中の1時だが緊急事態ゆえ・・・。れなっちとふらふらしてだめだとかビビーサックのサランラップ巻きの話とかしたら目が覚めてきた。300マイルの選手たちのボリュームゾーンはどこにいるか聞くとみんなCP3ブレイバーンに固まっているという。ブレイバーンまであと10kmだがこのところ時速3km出ているかどうかくらい。とりあえず目が覚めて残りはしっかりした足取りでブレイバーンまで行くことができた。CP手前のブレイバーン湖で写真を撮って少し遊び向こう岸へ出る。ここでも去年のスノーモビルでは湖から上がったらすぐという感じだったが、歩くとそこそこ時間がかかった。11時6分にCP3に到着。

CP3はブレイバーンロッジでアラスカハイウェイ沿いのドライブイン。お店が普通に営業していて自分で食事を注文できる。1人1品大会参加費に含まれている。おそらく去年リタイアして輸送された後も食べたチーズバーガーを注文。それとコーラ。これを自分の足で来て食べたかったというのが今回の目標の第一段階。これまた幸せである。大きすぎて食べきれないためパンの部分は残して中身は全部食べる。取材の岡部さん、杉本さんとおしゃべりしてリラックスできた。続いて睡眠。ここではドライブインレストランの裏に簡易宿泊施設がありベッドで寝ることができる(マットの上にシュラフで寝る)。そのため本当はここまで一気に来てベッドで寝れるのが理想なのだ。夜のビバークでは眠れなかったためしっかり寝たいが、夜出発になってしまうとそれはそれで嫌なので17時には出発したい。そこで16時になって出てこなかったら声をかけてもらえるように杉本さんにお願いし13時に就寝。
 



朝はなるべくぎりぎりまで寝ていることにする。8時に起床。寝つきは悪かったがそこそこよい睡眠が取れたと思う。最後に天気予報を確認し気温がそれほど上がりそうにないことを確認してスノーシューを装備から外した。日本出発時にはレース後半は気温1桁まで上がる予報だったが全体的にマイナス15度から20度くらいになったので雪が解けて歩きづらいということは考えなくてよさそう。食事を済ませて9時ごろからホテルのロビーに荷物を運ぶ。チェックアウトしホテルで預かってほしい荷物を預けてレース装備のみになる。砂漠のレースでもそうだが荷物を預けて走るときに手元にある荷物だけになった瞬間は忘れ物がないか少し不安になる。

9時30分に出発と聞いていたのでソリとソリに乗せるバッグをトレーラーに乗せる。しかし人は乗っていかないみたい?荷物はどんどん積まれていき待っている人はだんだん減っていく。去年は選手はバスでまとめて移動していた気がするけど、自分でシップヤードパークまで歩いていくようだ。そこで櫛田さんに電話してシップヤードパーク待ち合わせではなくホテルに来てもらうことにした。ホテルでピックアップしてもらいスタート地点へ。10時10分ごろ到着しすぐにソリをスタート地点に並べてハーネスに装着する。去年はのんびりしていたら準備をしているうちにレースがスタートし取り残されるという苦い経験があるので早め早めで。今年は幸いハーネスの部品の紛失もなく準備万全。そして長い長いレースはスタートした。

気温はマイナス5度と温かい。南からの風が強いが追い風なので助かっている。最初のユーコン川~タキーニ川は凍結した川の上を進む平らなコースのため今回は走ることにする。前回は体力温存とここでの1~2時間の差が全体に与える影響はないと思っていたため全て歩いていた。しかしそれだと走りやすい川の上にいる間に夜になってしまい、さらに眠気に弱い自分にとっては暗くなると眠くなりやすいということで、明るいうちに少しでも先へ進んだほうがよいと考えた。理想的にはCP2のDog Grave Lake(95km)まで一気に行くこと。行けたとすればスタート翌日の午前6時くらいになると思われる。これはかなりうまくいった場合なので、現実的には前回リタイア地点(75km前後?)が目標となるか?

ユーコン川の上をさくさく走る。氷の上を水が流れているオーバーフローもあるとの情報があったが大丈夫そう。少し体が温まったら暑くなったため上着を脱ぎ薄手のアンダー2枚になる。最初の薄手アンダー2枚は走って汗をかいて寒くなったら着替えてしまう予定なので(序盤走るための使い捨てウェア)いくら汗をかいてもかまわない。日焼け止めを塗り忘れていたので塗ってから再スタート。ジョギングイメージで走っていると前の選手を次々と抜かすことができる。スタート直後のボーナスみたいなものだと思うが、ソリは軽く感じソリに前進する惰性がついていることで走っても歩いても負荷は変わらないように感じる。高い崖の上で櫛田さん、杉本さん、岡部さんが応援してくれていた(一人ひとりの判別まではできず)。

さらに走って前に出ていくと先行する足跡も少なくなり走っていても他の選手を抜かすことがなくなる。前の選手も後ろの選手も走っているためポジションが落ち着いた。気温は上がってプラス5度近くまで上がった。タキーニブリッジ(約20km)が見えたところでペースを落とす。汗をたくさんかいて嫌な感じだし、このまま走っていたら明日は筋肉痛になりそう。去年はここでれなっち、櫛田さん、ちほさんが応援に来ていて一緒に歩いたなと懐かしく思っていると、橋の下に取材の岡部さんと杉本さんが来ていた。せっかくなのでここで小休憩し補給していくことにする。ちょっと止まっている間に続々と走って通過する後続選手たち。けっこう真面目に走っていたのに全然差を付けれていないばかりか、むしろ彼らのほうが余裕があるように感じる。みなさんどれだけ超人なんでしょうか。



タキーニブリッジを出発し少しペースは落とし気味にする。気温が上がって雪が緩んでいるところもあるため、足場のよいところだけ走るようにし、傾斜があったり足場の緩んでいるところは歩き。見通しが利くところでは休憩中に抜かしていった選手たちが確認できるが追いつけそうにはない。大部分走った効果で完全に明るい16時24分にCP1のRivendell Farm(35km)に到着。去年よりも2時間早い。このCPはオフィシャルでは42kmとなっていてマラソンの部のフィニッシュなのだが、去年のGPS計測では35km弱。今年のGPSでも35km強だった。

気温はまだプラスだが風もあり汗をかいたウェアで止まると一気に寒くなる。すぐに次の区間用のアンダーウェアに着替え上着を着る。スープとサンドイッチとチョコケーキ?をもらいスープとサンドイッチ半分はその場で食べる。一気に食べたら「おえっ!」となったのでサンドイッチの半分とチョコケーキ?はソリに乗せて持っていくことにする。お腹が落ち着いたらまた食べよう。そして保温ボトル3本(900ml×2、480ml×1)にフルにお湯を入れてもらう。CP1まではそんなに時間がかからないためスタート時には900mlのボトル1本は空にしていたが次の区間からは長くなるのでフルにする。マラソンの部に出たホワイトホース在住の日本人の方々とも会うことができ応援してもらえた。17時9分にCP1を出発。

お腹が落ち着かず「おえっ!」となるため少しずつお湯を飲みながら基本的には歩きで進み、時々少し走る。気温0度程度なのにここでの服装は、去年マイナス30度を下回っていたときと同じものを着ているのにちょうどいい感じ。なぜなのか不思議だが、この後気温が下がったときに同じウェアで大丈夫なのか少し不安になる。暗くなってきたところでヘッドライトを出すついでにサンドイッチの残りを食べた。具(ポテト)が凍りかけてシャリシャリしておいしい。気温は下がってきてマイナス2度になった。暗くなったらやっぱり少し眠くなったためGoproで自撮りインタビューして眠気を飛ばす。話をしたり少し違うことに脳を使うと目が覚める。

途中で一緒になった選手に「今日はどこまでいくつもりなのか?」と聞かれ「CP2まで休まずに行くつもりだ」と答えると「リスペクト!」と言われた。CPで休んだほうが効率いいと思うんだけど途中で寝ていくほうが多数派なのかな?さらに少し進むともうタキーニ川から上がるところについた。前回よりもかなり早い感じ。前回はCP1から先のタキーニ川ですでに「眠い、眠い」と蛇行が始まっていたのでなかなかたどり着かなかったんだよな。

前回眠くて仕方なくやっとたどり着いた広場に到着。カメラマンのデレクが待ち構えて写真を撮ってくれた。前回はここで櫛田さんとれなっちの最後の応援がありマイナス37度でビバークしたところ(TV番組の靴下凍っちゃいましたの場所)。今回は8時20分マイナス5度と前回に比べてあまりにあっさり元気に到着。前回よりも3時間30分くらい早い。先へ進むとトレイルの「TRAVEL AT OWN RISK」の看板の広場のところで何人かテントを設営していた。日付が変わるのを待たずにもうビバークしてしまうのか。さらに進んでいくと0時ごろからはいよいよビバークする人が増えてくる。前回たき火で靴下を乾かそうとして焦がしてしまった場所とか懐かしい場所を通過していく。前回はこの辺でだいぶはまっていたため単純計算ですでに10時間程度早くなっている。

空は雲一つなく星がすごい。オーロラが出ないか期待大。しばらくするとオーロラが出てきた。一部明るいものも出てきたので写真を撮る。レース中なので写真は数枚で自粛し歩きながらオーロラを眺める。少し眠くなってきたのとビバークしている選手が多くなってきたので(序盤けっこう前に出たつもりだったのにまだ前に選手がいた)少し睡眠を取っていくことにいた。どうせなら前回リタイアした地点まで行ってビバークし前回の再スタートをする形にしようと前回リタイア地点を探す。正確に前回リタイア地点を見つけることはできなかったが(戻って探すようなことはしないし)GPSで75kmを超えたところで少なくとも前回リタイア地点は超えたと判断してビバーク。時間は午前3時過ぎ。れなっちに衛星携帯で前回リタイア地点まで来たこと、それなりに脚を使って前進したのでけっこう疲れたことなど伝える。気温はかなり冷えてきてマイナス15度。油断ならない気温になってきた。

シェルターを立ててマットを膨らましシュラフを放り込む。さらにシュラフライナー代わりのエマージェンシービビーをシュラフの中に入れて自分も入る。エマージェンシービビーにアンダーウェアのみで入ったらすぐにじっとりと汗が出てきて、このままだとウェアがびっしょりに濡れてしまうため脱いでパンツ1枚にエマージェンシービビーの状態にする。シュラフのベイパーバリアは基本的に裸にベイパーバリアライナーらしいので。ところが裸(パンツは履いているけど)にエマージェンシービビーになったらシートがサランラップのように体に張り付いて身動きできなくなってしまった。寝返りすらできない、というか手を動かすことすら困難な状態だがとりあえず寝ることにする。絶対に何か間違えている気がするなー(笑)



残念ながら今回もリタイアでした。到達地点はGPSで308km。ゴールまで約180kmを残すことになりました。リタイアの原因はソックス・シューズを濡らさないために多用したベイパーバリアライナーです。ベイパーバリアライナーとは足にかいた汗をソックスに吸わせないように簡単に言えばビニールのようなものを足に履き、その上にソックスを履いて使います。汗でソックスやシューズを凍結させないだけでなく、足の表面に水分を保つことで温かくすることもできます。ただ長時間使った場合は皮膚が蒸されてふやけてきます。足がふやけて血豆のようなものができ擦り切れて足の指の付け根から出血するようになりました(ほぼ全部の指)。痛みでペースが上がらなくなったのと主催者のチェックで感染症の危険があるため続行不可と判定されました。(ドクターストップ)

ふやけて擦り切れるのは予想できていましたが、途中で足がふやけてきたところで足を休ませるため(少し乾燥させるため)にベイパーバリアライナーを外したところ去年と同様に自分の足の汗でシューズが凍結してきたので、ベイパーバリアに戻して悪化させてしまいました。

ではどうすればよいのか、ですが、今回も第二の方法として用意はしていたのですが湿らせてしまったソックスをどんどん交換していくという方法があります。そして超低温(マイナス40度など)のときだけベイパーバリアを使うのが有効だと思います。ちなみにグローブとウェアもベイパーバリアしていましたが、汗をかくようなペースでも外側のものを湿らせることなく最小限の交換(ほぼ交換の必要なし)でおこなうことができました。

今回はゴールまで行けると思っていたのでとても残念ですが、落ち着いて考えてみると去年はダメすぎて残念ですらなかったんだよなあと思えば少なくとも前進はした、ようやくこのレースがどんなものか語れるようになった気がします。今回は前回と違いコースのけっこうな部分を見ることができたので、もう一度そのコースをたどりたいかと言えば、今は「もう勘弁」という気持ちです。それくらい長く、単調で、厳しいコースです。単調の一番の理由は季節的に夜の時間が長いというのも原因の1つだと思います。それと引き換えにオーロラも美しいレースです。凍った湖を走りながら見たオーロラは忘れることはないでしょう。

また4月に生まれる予定の子供の名前をレース中に考えておくという自分の宿題があり、一番印象的だった凍った湖のオーロラの場所で決めました。まあ名前自体は妻(れなっち)が「なんとなく響きで」と出していたものに賛同した形ですが意味付けをし、先ほど電話でれなっちに報告をして決定しました。ほんとうは完走をしてこうしたいと思っていて、絶対完走と心に決めていたのでとてもとても残念です。

あと心に残ったのはチェックポイントでのおもてなしです。食事をいただけるのですが、どの場所でもボリュームがありおいしく選手に力を付けてもらおうという気持ちが伝わってきます。外の環境が危険なだけに余計にそう感じるのだと思います。私にとってチェックポイントでほっとできるナンバー1のレースです。

帰国は2/15発、2/16着なのであと数日ホワイトホースでのんびりしながらレースレポートを作成しようと思います。

Yukon Arctic Ultraいろいろリンク集

■大会公式サイト
http://www.arcticultra.de/en/
※トップページ右側のトラッキングのリンクが去年のものになっているので直っていなければ以下のリンクを参照してください。

■2016年トラッキング
http://trackleaders.com/yukonultra16

■現地取材(岡部さん)の記事がアップされるサイト(Mountain Sports Network 山と渓谷社)
https://www.mtsn.jp/
※私はレース終わるまでレポートできないけど、こちらは通信状態によっては日々更新もあるかも。

■現地の天気予報
カーマックス
http://www.theweathernetwork.com/ca/weather/yukon/carmacks
ドーソン
http://www.theweathernetwork.com/ca/weather/yukon/dawson
※ホワイトホースを出るとほぼカーマックスの気候になると考えてよさそうです。それより北は最低でドーソン近くまで気温が下がるかも。ページを下にスクロールすると「7Days」という表示がありこえから先の予報が見れます。



朝8時15分に目覚ましで目を覚ます。9時からブリーフィングなのでぎりぎりの時間だが寝れるだけ寝たほうがよいため目覚ましはぎりぎりの時間にしておいた。すると岡部さんから「ブリーフィング始まってるよ!」とメッセージが入っていたが、それはトレーニングコース参加の人が対象。朝食を食べてから9時にブリーフィング会場へ。できる限り聞く努力はしたが拾えた単語から去年の状況を踏まえて脳内補完した情報。1時間半ほどのブリーフィングの後、岡部さんがメモを取っていたので岡部さんのメモに従って振り返りをしてもらう。実は岡部さんもあまり聞き取れていなくてメモに聞こえたとおりに書きなぐっているけどなんて書いてあるか本人もわからなかったりと微妙な感じ(笑)カーマックスのあたりのまっすぐな道を信じて進めとか不安だなー(たぶん町の中の道路の話)トレイルよりも町で迷子になりそう。ブリーフィングのときに地図とSPOTを受けとった。

装備チェックの前にCoast Mountain Sportsに行って提供されるホワイトガソリンを受け取る。装備チェックは14時までなのでぎりぎりの時間に行けばいいと思っていたら13時半すぎにスタッフに早く来いと催促を受ける。去年は430マイルもあって参加者多かったけど、今年は去年よりは少ないので他の人のチェックが早く進行したらしい。装備チェックはスリーピングシステム(マット、シュラフ、テント)の確認とガソリンストーブの着火確認。シュラフはやっぱり厳しく見ているらしくこれで大丈夫なのか?とスタッフ間で協議が始まったが主催者レンタル品なので「ロバートに借りたものだ」と言ったらOKになった。

部屋に戻ってからドロップバッグを作成しSPOTの起動とOK信号の送信。SPOTに電池を入れる段階になって単4電池が4本必要だということに気が付く。2本だと思い違いをして4本しか持ってこなかったので予備がない状態。昨日から他の参加者がホワイトホースの単4電池(エナジャイザーリチウム限定)が売り切れたと騒いでいるので手に入らないかもしれない。後でお店を探すことにして念のため櫛田さんに持っていないかメッセージしたらたくさん持っているとのこと。

17時からのディナーには大幅に遅刻することにして(最初の1時間くらいは食事でなくセレモニーみたいな時間なので)町の反対側にあるウォルマートとカナディアンタイヤを見に行く。ホテルから近いメインストリートにはあるわけないので(あれば騒ぎにはならないだろう)。しかし単4リチウムは売り切れだった。ホテルに戻って櫛田さんにやっぱりなかったとメッセージをし、明日のスタート見送り時に持ってきてもらうことになった。

18時30分ごろディナー会場に行くと食事時間になっていた。食事をしているときに同じテーブルの人に話しかけられ、英語をほんの少ししかできないとわかっても辛抱強く話してくれたので少し救われた感じだった(一応会話は成立した)。食事の後、岡部さんが岡部さんの部屋のバスタブを使ってもいいと提案してくれたのでお言葉に甘えてバスタブを使わせてもらう(その間岡部さんはロビーで記事作成)。自分の部屋にはキッチンがあってバスタブがなく、岡部さんの部屋にはバスタブがあってキッチンがない。

21時ごろドロップバッグを置きに行く。22時ごろから動画コンテンツに挑戦ということでGoproでレース前夜動画を作る。納得いくまで取り直していたら1時間以上10回目でやっと完成した。また寝るの遅くなってしまったけど、もう出るだけの状態になっているのでぎりぎりまで寝ていよう。

■レース前夜自撮りインタビュー
https://youtu.be/myJNfdtxV0g



全然眠れず、ちょっとうとうとした程度で朝の7時になる。朝食を済ませて8時にロビーで櫛田さんと待ち合わせ。今日のフィッシュレイクには取材で来ている岡部さんも同行。これは取材ではなくせっかく来たのだからホワイトホース近くのよい場所も見ておけば?とお誘いした。朝8時は少し明るくなったころのイメージだったがまだ真っ暗だった。車でフィッシュレイクへ向かう途中、道路にリンクスという動物がいて櫛田さんも野生を見るのは初めてだという。まず人前に姿を現す動物ではないらしい。

9時ちょっと前にフィッシュレイクに到着したときは、だんだん明るくなってきていた。準備をして9時にスタート。気温はマイナス10度程度で寒くはないが顔に風が当たるとすごく冷えて嫌な感じ。このくらいの気温なら凍傷にはならないかもしれないが、レースのときは極力快適な状態を保つべきなので我慢はせずにフードをかぶったり、バラクラバをかぶったりいろいろやってみる。動いていると暑くなるし、かといって素肌を出しているとそこだけ冷えるのでなかなかちょうどよくならない。

途中で自撮り動画(セリフ付きで)を撮りたかったので岡部さんには先に行っていてもらって(道の特徴を教えて明確なところで待ってもらう)1人でゆっくり写真や動画を撮った。シャボン玉を凍らせる実験はマイナス10度程度ではだめだろうなと思いながらやってみたが、やっぱりいたって普通のシャボン玉になった。フィッシュレイクとホワイトホースの間のトレイルは去年練習であらゆる時間帯、何度も何度も歩いたところなので細かい場所まで明確に思い出せる。手軽かつ景色のよい素晴らしい場所だ。フィッシュレイクから下ってホワイトホースのトレイルの出口付近まで5時間弱。標高の高いフィッシュレイクではマイナス10度、そこから少し登って日当たりのいい稜線ではマイナス5度、ホワイトホース側に下ってくるとマイナス15度(トレイル出口付近はマイナス12~13度)という気温変化だった。

今回気が付いたことの1つが「動物」。去年はマイナス30度を連発していたためか動物の姿を全く見なかったが、今日は鳥が飛んでいたり生き物の気配を感じた。時期は同じでも気温が上がると活動しはじめるのだろうか。

去年の練習のパターンと同様にトレイルから出る手前で火関係の練習。ガソリンストーブの着火とたき火の作成。火は作るとなったらスムーズにできるように何回も練習しておきたい。去年はここでたき火に失敗したが(適した木が少ない場所でもある)今回は1回でうまくいった。あと衛星携帯かられなっち(出勤直前)に電話をかけるテストもおこないよい通信状態で話ができた。

今日はグローブもベイパーバリアをしていたがたった5時間のトレッキングでポリエチレン手袋(ドラッグストアで買ったやつ)の内側にはっきり水滴がつくくらい湿った。内側の薄い手袋も着脱がスムーズにいかないくらい濡れていて作業するときにわきに置いたらすぐに凍って固くなっていた。改めて人の体は水分の塊で常に蒸気(汗)を出しているんだなと思った。去年グローブも温まらなくなってきたが5時間でこれでは24時間以上も行動していたらそれは冷たくなるよなと思った。今回は薄手の手袋の上にポリエチレン、そのうえに本格的に防寒するグローブと考えていたが、一番最初にポリエチレンにしたほうがいいかもしれない。不快感は増しそうだが。

いつもの場所で櫛田さんにピックアップしてもらいダウンタウンへ戻る。衛星携帯の予備バッテリーを衛星携帯電話屋で借りてからホテルに戻る。ロビーのソファーでいろいろ話をしたが昨夜ほとんど眠れなかったので眠くなってきた。

解散後、部屋で荷物を片付けてから、大会支給のホワイトガソリンを受け取りにCoast Mountain Sportsに行ってみたが閉店が18時でわずかに間に合わなかった。佇まいがスポーツデポみたいな感じなのでなんとなく夜まで営業していそうな気がしてしまうのだが、暗くなるころには閉店する。ホワイトガソリンは明日ブリーフィングと装備チェックの合間に行くことにする。

部屋でコーンフレークを食べてネットで大会情報の更新がないか調べてから21時前に就寝。時間が早いため明日の朝までぐっすりとはいかないだろうが眠すぎてギブアップ。そしてやっぱり午前2時ごろ目が覚めたのでこのレポートを書いてからもう一度寝る。明日は朝9時からブリーフィング。スタートを翌日に控えて忙しい1日になる。

動画:ユーコンでシャボン玉
https://youtu.be/J-UP041byx8
 



明け方5時ごろ目が覚めたが、前日移動で活動時間が長かったのに睡眠5時間で起きるわけにもいかずもう一度寝る。次に目が覚めたら12時30分だった。今度は寝すぎ。買い物などで岡部さんを街中案内することにしていたので、13時30分にホテルのロビーで待ち合わせて出かける。

スーパーで買い物などしながら街を一周。ユーコン川は真ん中あたりが普通に流れていてレースをホワイトホース出発にできるのか心配になる。なお、お土産にYukon Questのグッズを買いたかったが、今年はYukon Questのスタートがフェアバンクスだからか(ホワイトホースはごフィニッシュ)お店にYukon Questコーナーはありませんでした。Coast Mountain Sportsで成田で没収されたVictorinox classicを購入した。

18時ごろレンタルギアの受け取りに行く。行くといっても主催者の装備部屋が自分の宿泊している部屋の2つ隣りなので楽。エントリー資料の原本と保険の加入者証を渡して、ソリ、ハーネス、シュラフを受け取った。スーパーで買ってきた牛肉ステーキを焼いて夕食。昨日から主催者がサイトの更新を激しくしていたので情報収集をおこなう。現地に入ってからもサイトを詳細に更新してくれるのは英語が苦手(というかほぼできないに近い)な私にとっては大助かり。文章だとおおよそはつかめるし、翻訳サイトも使えるので。

今日レンタルギア受取のときに自分の前の人がロバートに「ホワイトガソリンの支給は?」と聞いていて「明日」と言っていて「明日のいつ?どこで?」と思ったのだが、アウトドアショップ(Mountain Sports)にガソリンの容器を持って行ってお店で注いでもらうということだった。お店の人はどうやって大会参加者を判別するのかなと思った。

またコースの目印の設置がおこなわれたらしくユーコン川からタキーニ川に入るところまではオーバーフローという川の氷の上を水が流れる状態になっていてオーバーシューズで防水することとのこと。スノーモービルで目印を設置できるくらいだから氷が割れたりはしないだろうが水でじゃぶじゃぶのところを進むのはちょっと怖いかもしれない。また雪や氷がとけてから凍ったような場所が多く発生していてスパイクがあったほうがよいかもとの情報もあった(スパイク家に置いてきちゃった・・・)。

明日は朝8時に櫛田さんにピックアップしてもらってフィッシュレイクに落としてもらい軽くトレッキングする予定。



最後の追い込みでパッキング。去年と同様の組み合わせのスーツケース(100リットル)+ザック(65リットル)に荷物が収まらないため追加料金覚悟でレースでソリに搭載するモンベルのエクスペディションダッフル(170リットル)にザックを入れ余ったスペースにあふれた荷物を入れた。ダッフルバッグのコンプレッションベルトを締めたらいい感じに小さくなり荷物の規定サイズに収まりそうな感じになった。

れなっちと一緒に自宅出発(れなっちは空港見送り)。荷物が重すぎなのでタクシーでたまプラーザまで行き成田空港行きのバスに乗る。約2時間で成田空港第一ターミナルに到着。空港で見送りに来てくれた松村さんと合流。三菱東京UFJ銀行で7万円を740カナダドルに両替。千葉銀行のレートよりもわずかに良かった。航空機荷物預けは重量・サイズとも問題なかった。

松村さんが出発前インタビューを撮るというので展望デッキで撮影する。プロに撮っていただきありがたいですが、事前に考えていなかったのでうまく話せませんでした(映像で見たらうまくいっていることを願う)。それから出発前最後の食事へ。和食にはこだわらずおいしいパフェを食べたかったので不二家レストランへ。まぐろのたたき丼とストロベリーパフェを食べる。

18時ごろ出発ゲートへ。荷物チェックで小さいナイフ(Victrinox classic)を没収されてしまった。せめて戻ってれなっちに渡すという選択もあったが、18時25分に搭乗ゲートとなっているので係員に処分してもらうことにして先を急ぐ。ゲートまでの移動中に18時25分になってしまったので走る。ゲートに到着するとAC004便に乗る人たちが飛行機に向かうバスに乗っていくところ。最後尾に並んでバスに乗り込む。飛行機は予定通りの時間に出発。

窓側の席だったが飛行機は離陸後に旋回せずまっすぐ太平洋に出たので地上の景色は見えず。ずっと真っ暗なままなので通路側の席のほうがトイレに行きやすくてよかったなと思う。うとうとしたり音楽を聴いたりしながら約8時間でバンクーバーに到着。(ここからユーコン時間=バンクーバー)バンクーバーは今回も雨が降っていた。この時期は雨期とのことだが雨の確率が非常に高い。入国審査を通り荷物を一度ピックアップ。預けた2つとも無事に出てきた。国内線のターミナルへ移動しネットしたりお菓子を食べたりして2時間ほど暇つぶしのあとAC289便に乗ってホワイトホースへ。

2時間30分くらいのフライトでホワイトホース着。心配だった荷物もきちんと届いた。空港入口前にホテル送迎バスが来ているので乗り込みホテル(High Country Inn)へ。High Country Innでバスから降りた人たちはみんな屈強そうでした。チェックインしたら取材活動で来ている岡部さんと杉本さん(現地在住カメラマン)が17時からロビーで打ち合わせとのこと。櫛田さんに電話したら18時にホテルに来てこれからの動きの打ち合わせをすることになった。

岡部さんと杉本さんが打ち合わせしているところに行ったら主催者ロバートも来ていて1年ぶりの再会となった。とっさだったので気の利いた英語が出るはずもなく「おおー!」とか言ってロバートと握手。覚えていてくれてよかった。今回岡部さんが突撃取材に来ると聞いて現地で個人が移動するのは非常に困難(そして危険)だと思ったので、私としては「(取材は)やめておけばー」と思っていましたが(ご本人にもそう言いましたw)、主催者が便宜を図ってくれてかなりの部分を主催者と同行し時間があればソリを引く体験もさせてもらえるそうで、取材もうまく行きそうな感じでした。主催者も日本人の参加者が増えることを期待しています(笑)(私みたいな英語できない奴が増えると困るでしょうけど)

そこで櫛田さんもホテルに来たので4人で夕食へ。櫛田さんがダウンタウンから出てアラスカハイウェイ沿いにあるユーコンのトラック野郎が集まる食堂に連れて行ってくれました。ステーキが柔らかくておいしかった。そしてダウンタウンよりも安い。櫛田さんに買ってきた贈り物を渡しました。お世話になりっぱなしなので。おしゃれなボールペンを買ってきたのですが、選んでいるうちに自分もほしくなったのでそのうち自分用も買います。ホテルに戻ったのが22時。櫛田さんから衛星携帯を借りて、GPS(GARMIN)を渡しました。櫛田さんの持っているユーコンのTOPO(地形図)をGPSにインストールできれば自分でTOPOを購入しなくて済みます。また来そうだから買っておいてもいいですけどね。部屋に戻りあれこれやっていると櫛田さんからTOPOのインストールができたとメッセージあり。

シャワーを浴びて24時過ぎに就寝。時差17時間だから自分の1月31日は41時間あったということだと思う。

今日櫛田さん杉本さんとお話ししていて「そうか!」と思ったこと。Yukon Arctic Ultraの430マイルが2年に一度しかおこなわれないのは、2年に一度しかできないというのが本当のところで、Yukon Quest(犬ぞりレース)がフェアバンクススタートの年は430マイルの部を開催するとペリーファームからドーソンの間で両方のレースが行き交うことになるからなのでした。確かに犬ぞりが突っ走ってくる向かいからソリを引いた人やMTBが走ってきたら衝突しないまでも相当邪魔そう。しかもArctic UltraはQuestのコースを共用しているので別の時期に開催というわけにもいかないし。櫛田さんはYukon Arctic Ultraもフェアバンクスからスタートすればできると言っていました(笑)
※櫛田さんの想像であり実際のところはわかりません(でも説得力ある!)

 

 

スケジュールと装備資料へのリンク

ユーコン出発まであと2日、レーススタートまであと6日。
全ての装備が揃ったため、レース中にチェックポイントに送るドロップバッグを作成し足りない装備がないか確認をおこなった。あとはここに揃えた装備を全てスーツケースとザックにパッキングすれば出発できる。今回は低温でウェアが凍り付いても交換していけるように用意しているため荷物が多い。ほとんど毎日ウェアを全て交換できるくらいのものが揃っている。今回は物が足りなくてリタイアすることになることだけは避けたい。すべて持っていけるかが少し心配だが・・・。

レース中の目標としては豊富に揃えた物をすべて使い切るのではなく、安全のために多く用意しただけなので、ウェアをだめにしないように節約していけるかということも試していきたい。もしかしたら将来もっと長く進むことがあるかもしれないし(笑)とにかく今持っていないスキル経験を得ることは大切だと思う。

今回は低温の中でシャボン玉を飛ばし氷の玉を作ってみたいのでシャボン液も用意した。ただ現地(Carmacks)の予報を見ると2/4~12はスタート直後はある程度冷えているものの、気温は上昇していき後半は用意したウェアだと暑いのでは?というくらい。マイナス30~40度をいかにやりすごすかという準備をしてきたため、それよりも20~30度も暖かいなかでのレースになってしまいそうなのは少し残念だ。

気象条件はさておき自分のやるべきことは去年の借りをできれば利子付きで返すようなレースをすること。このレースを片付けなければ先へ進めない。1年間あっという間だったけど、去年はレースに向かうのが怖かったけれど、今回は楽しみ・待ち望んでいたという感じなので、これが去年の経験+1年分の成長なのかなと思う。

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なぜか砂漠にひかれサハラ・アタカマ・ゴビ・南極でおこなわれたレースに出場。これからも世界の絶景を見に行きたい。
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