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※大きな睡眠から大きな睡眠を1日として扱う都合でこの日は短くなっています。
目が覚めると15時だった。2時間で目が覚めてしまったが特別眠いわけではないし体が出発の準備ができたと理解して出発の準備に入る。もう一度コーラを買って飲み、準備をしているとファビオという選手が話しかけてきた。彼は靴擦れが悪化しここでリタイアすると言う。ドロップバッグから次の区間の装備を入れ替えているとファビオがやってきてソリの裏にワックスを塗ってくれるという。平地で滑りやすくなり楽になるそうだ。それから場合によってはソリに乗ってストックで漕ぐという方法もあるらしい(どこまで本気かはわからないw)。準備を済ませて出発しようとしているとファビオが寿司海苔を持ってきた。寿司海苔とワックスも容器ごとくれた。ファビオのぶんまで先へ進もうと思った。(寿司海苔とワックスは同じものがホワイトホースで売られていたのでたぶんそこで買ったものだと思う)
16時35分にCP3を出発。取材の岡部さん杉本さんもしばらくは一緒についてくる。少し登った後長い下り坂があったのでファビオに教えてもらったようにソリに乗って勢いよく漕ぎ坂道を滑り降りた。わざわざソリを外して乗るよりも走っていったほうが速そうだけど。別のアクティビティとして確かにおもしろい。荷重移動で曲げることもできるしスピード感が楽しい。しばらくして岡部さん杉本さん離脱。夕暮れ迫るトレイルを進む。しばらくして川に出るとそこからは川と湖をつないでいくコースになる。基本的には平坦な凍った川・湖の上でときどき島のような陸地に上がり、また川・湖に出る。平らなところがほとんどのため走れる場所が多い。それでも数時間の進み具合を時速にすると4km程度にしかならないので、いかに停止時間を短くするかがスピードアップの肝だと思う。絶対的なスピードを上げた状態を10数時間も維持するのはまず無理なので。
フリーズドライで食事にでもしようと荷物を降ろしカレーにお湯を注ぐ(こういうのが停止時間となって積みあがる)。するとお湯がぬるくてフィリーズドライが完全に解けない。給水でお湯を飲んだときにもぬるいと思ったが、給水で手元に持っているボトルは保温力が少し弱いので冷めたのだと思っていたが他のボトルもぬるかった。40度はないなというくらい。お湯を沸かしなおそうかとも思ったがかなり時間がかかるし、平地が多くいいリズムで進めているため次のCP4 Ken Lakeまでカロリーメイトで我慢しようと思った。
巨大な湖(コフランレイク)に出てひたすら走る。向こう岸がまったく見えない(夜だからだけど)平らなところは走り切りたいのだが走っても走っても終わりが見えないのでついに歩き出す。何度か「ドーン!」という爆発のような音を聞いた。氷が割れているんだと思うんだけど自分がいる場所がそうなったら恐ろしい。氷にひびが入っているだけで水に落ちるとかはないと思うが。湖の上を走っているとひんやりとしてきて気温がぐっと下がってきた。お腹も空いてきたし少し休みたくなってきたが、だだっ広い湖の真ん中で休憩するのも落ち着かないので早く湖から出たい。2時間ほどかかってやっと湖から脱出。
湖から出て休憩する場所・・・というよりはビバークする場所を探し始める。川や湖の氷の上でビバークするのは禁止されているので(危ないかもしれないし寒いだろうから)次に同じような場所に出てしまうとまた何時間も休めない可能性がある。そのためかコフランレイクから上がった先には何人かの選手がビバークしていた。あまり他の選手の横でビバークとかはしたくないので良い場所を探しつつ先へ進む。ビバーク場所の選定が難しく平らでしっかりしたところはすぐ下が氷になっているし、そうでない場所は雪が深い。前回の430マイルと異なり300マイルはスコップが義務装備になっていなかったため置いてきてしまったがビバーク・設営を考えたらスコップがあったら楽だなと思った。雪が深いところでビバークすると前夜のように寝ている間に傾斜してきて休めないと思ったので仕方なく氷の上にうっすら雪が積もっている平らな場所で休んでいくことにした。
午前1時。ビバーク場所を決めてシェルターを立てる。今回のレース一番の寒さを感じ温度計を見るとマイナス27度。これぞユーコンという感じになってきたが天気予報ではせいぜいマイナス20度だったはずだけど、この辺は特別寒い場所なんだろうか。Goproで記録を撮ろうと思ったら寒すぎて電源を入れてもすぐに電源が落ちてしまう。新しい電池に入れ替えても同じだった。前夜までのようなビビーのサランラップ巻きで寝るのはもう嫌だと思ったのでビビーは使わないことにした。準備時間の短縮も考え服装はそのままシューズの上にオーバーシューズを履いてシュラフに入る。足が少々窮屈だが上半身・グローブ・ソックスはベイパーバリアしているのでビビーに入らなくてもシュラフに水分を吸わせることはないだろう(あってもわずかだろう)。