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朝からとても天気がよい。食料もだいぶ少なくなって荷物が軽くなってきたと感じる。食事と水をしっかりお腹に詰め込んで、ザックの取り出しやすいところに、いつもよりも少し多めに食料を入れる。ロングステージ用にジェル6こ用意してあるが、行動時間が10時間程度になる見積もりでいるのでレース中盤でドライフルーツで昼食を入れる。スタートにだいぶゆとりを持って準備できた。今回は朝の準備が早め早めに動けていていい感じ。(たぶん周りの人が早起きなので動き出しがいつもより早くなっている)今日のコースはおそらく前半は内陸のちょっと暑い感じ。後半40km過ぎから海岸に出そうなので、風が強くなり涼しい感じになると予想される。暑さがあまり得意ではないので後半涼しくなってくれると最後きっちり追い込めていい結果も期待できそう。

スタート直後はわたるさん、台湾の選手に続いて3番目を走る。おそらくすぐ後ろに若岡さんと10位以内くらいのいつものメンバーが付いてきている(わざわざ後ろは見ない)。足は軽くロングステージに向けた調整はうまくいっている感じ。晴天だが気温もあまり高くなく地面は固いという自分の得意な状況。調子に乗り過ぎない程度に、しかし涼しく感じている間になるべく距離を稼ぎたいので力を抑えずに快調に走る。すぐ後ろには気配を感じなくなったので4番目以降とは少し距離が離れた感じで少し意外だった。しかし前の2人はロングなのにいつもよりも速いでしょ?というペースで離れていく。おそらくわたるさんに少しずつ差を付けられてきた台湾の選手が仕掛けているのではないかと思った。

CP1に到着したときすぐ後ろに選手がいる感じはない。水を補給してすぐに出発。ある程度時間を置いて後ろから「Good job!」という声援が聞こえた。後ろの集団との差は3分差くらいか(後ろは見ない)。始まってすぐから順位を気にしても仕方がないけど無理なく自分よりも上位の選手達に差を付けることができているので、あわよくば・・・とは考えてしまう。遠く海側のほうに黒っぽい雲?霧?の塊が見えるので日中になって暑くなる前に雲の下に入りたいなと思う。

今日のコースはコース説明で終盤の一部以外全て「easy」と書かれているので、ずっと固い地面かなと思っていたらだんだん砂が多くなってきた。左右に小さな砂丘が見えるようになり見たかった砂漠の景色になってくる。小さな砂丘を越えるときに砂丘の上で後ろを振り返ると若岡さんっぽい人影しか見えなかった。後ろのみなさんも入賞するためには今日が勝負のはずなのにどうしたんだろう?CP2の手前で撮影班の乗ったヘリが地上にいた。砂丘地帯は空撮は楽しみだな。


CP2を過ぎると大きな砂丘が見えてきた。コースは砂丘の尾根の脇(片斜面)についている。砂はさらさらでやっぱり進まない。どう考えても「easy」じゃないだろうと思う。砂の上にきれいなトカゲがいるのを見つけた。テレビで見たことがあるやつだ。写真を撮ろうとして追いかけたがすごい速さで走って逃げられてしまった。接近せずに写真を撮ってしまえばよかった。コースは巨大な砂丘を登っていく。絶対easyじゃないって!こういうコース好きだけど。せっかくの巨大砂丘なので動画を撮りながら登っていく。一番高い山頂に撮影班の田中さんがいて「(動画撮影しているので)上位を走っている選手に見えませんね」と言われる。「これも含めて自分のレースなんでー」と返し山頂で周囲の景色をぐるりと撮影。山頂の砂の上にゴキブリのような昆虫がいたので激写。でもやっぱりトカゲを逃してしまったのが悔やまれる。山頂からの砂丘の尾根は固い砂地でわりと走りやすかった。しばらく景色のいい砂丘の上を走る。コースが方向を変えて砂丘から降りはじめるところにサマンサ(主催者)がいたので写真を撮ってもらった(後から考えたら一緒に写ってもらえばよかった)。サマンサに「カメラがヘビーだ」と言われるが「趣味なんでー」と(当然英語で)返事。コンパクトカメラではあるが高機能で重いのは承知の上で使っている。砂丘を駆け下りてCP3に到着。

CP3を過ぎると固くて平らな地面。足場が柔らかいと時間がかかるので時にはこういう固い地面があると助かる。途中に1つだけ孤立した砂山がありピンクフラッグは壁のような斜面を登るように続いている。すぐ脇を迂回すれば平らなところだけ走っていけるのに。その後はまた走りやすい平地。30kmを超えたので後半に備えて走りながらお昼ご飯。少しペースを落としてドライフルーツをもりもり食べながら進む。CP4の手前で固い地面から塩が固まったような地面になり1歩1歩ぼこぼこと沈み込む感じ。アタカマのソルトフラットをうんとソフトにした感じ。CP4に到着して久しぶりに後ろを見るとソルトフラットの真ん中あたりを1人選手が進んでいる。たぶん若岡さんだろう。その後ろはまったく見えない。


CP4からは海沿いになりコースが平坦で涼しい風が吹いている。天気も内陸と異なり曇りで日差しはない。天気がよければ景色は素晴らしかったんだろうなと思う。自分にとっては有利な条件で残り30km。がっつり補給できているし体調もいい。まさか3位でここまでこれると思っていなかったので「これはチャンスだ」と思った。これまでのペースで追ってこれていないならばあとは突き放すだけだと思った。この辺は観光の車が頻繁に通る道のようで地面は固く道幅も広い。さくさく走ってCP5に到着。撮影班の人がいて「ペース上げましたか?」と聞かれたので「これからもっと上げますよ」とこたえる。体はまだ楽な状態だし涼しいのでここからが全開走行。

自分の中の目標を年代別優勝、もしかしたら総合3位もありえると明確に設定して全力で走る。今までのステージと違い翌日のことを考える必要がないのですべての力を使える。崖をおりて海岸線を走り、また崖を登るという距離のわりに時間がかかった区間で後ろを振り返るが後続の選手はまったく見えない。CP6を過ぎて残り11km。呼吸が少し苦しいくらいの感じで追い込みに入る。後ろを1時間くらい離せれば総合3位まで行けるかもしれないが、CP4で後ろに見えていた若岡さんを1時間離すのは無理かな。見えていなかった選手たちには1時間くらいいける可能性がある。そう考えると自分の調子はいいのでコースの所要時間が長くなかなかフィニッシュできないほうが差を大きくできるので「まだキャンプ地見えてくるな」と思いながら走った。さすがに疲れてきてエネルギー切れっぽくなってきたので最後のジェルを補給。するとすぐにキャンプ地が見えた。霧で見通しがよくなかったのですぐそばに来るまで気が付かなかった。できすぎの3位でフィニッシュ。

わたるさんのタイムを確認すると自分よりも1時間20分前、でも2位の台湾の選手は30分前でわたるさんとは大きく差がついていた。勝負に出て力尽きた感じかな。体中痛いのですぐにテントへ向かう。わたるさんに会ったら「すごい!3位いけるんじゃないですか?」と言われた。今日の後半はそれを狙って走ったけどどうかな?テントで寝転がって時計を見ながら「まだ来るなよー」と思いながら時間が経つのを待つ(笑)しかしとても残念なことに(笑)25分経過したところでフィニッシュゲートが騒がしくなった。選手が到着するとスタッフが「グッジョーブ!」と迎えるのでいつ選手が来たかわかる。その後は40分経過あたりから数分おきに選手が到着。残念ながら総合3位は無理だ。あとは状況により年代別優勝の可能性が残っている。

最終的な結果がどうなるかはわからないが、最後になると思われる砂漠レースで追い込み切って満足できる走りができたことが嬉しい。このステージの走りは砂漠レース自分史上2番目の快走だと思う。1番は南極のステージ2でトップタイでフィニッシュし自力で歩けなくなって船に担ぎこまれたとき。今回のロングコースは涼しかったことに助けられたのか全体的に到着が早い。深夜にならずに続々と選手が帰って来ていた。やっとレースを終えることができる幸せな気分で就寝。
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なぜか砂漠にひかれサハラ・アタカマ・ゴビ・南極でおこなわれたレースに出場。これからも世界の絶景を見に行きたい。
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